【東東京】二松学舎3年ぶり聖地 エース市川、体重+8キロで球速+5キロ

[ 2017年7月30日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権東東京大会決勝   二松学舎大付9―1東海大高輪台 ( 2017年7月29日    神宮 )

<二松学舎大付・東海大高輪台>9回を1失点で締めた二松学舎大付の市川(右)は甲子園出場を決め、雄叫びを上げる
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 プツリ――。5回1死を取った後、スパイクの靴ひもが切れた。二松学舎大付・市川はこの回を終えると、グラウンド整備の間に新しいひもに替えた。

 左腕エースは決勝の雰囲気にのまれていた。2、3回に計8点の援護を受けても、序盤は「周りが見えず、声も聞こえなかった」という。指先の動きに集中し、ひもを通していくと落ち着きが出た。

 「あれで楽になった。周りが見えてからは余裕を持てて、強気でいけた」。最速141キロの直球で内角を突き、変化球を織り交ぜて9奪三振。3年ぶり2度目の夏切符をつかむと、こみ上げるものを抑えられなかった。

 「本当に夢なんじゃないかと…。監督さんを甲子園に連れていくことができて、とてもうれしくて涙が出た」

 春の東京都大会準々決勝・日大三戦で3回途中6失点。1―16で5回コールド負けした。「変化球でかわし、逃げ回っていた」。市原勝人監督から「体重を増やさないとエースナンバーはあげない」とハッパをかけられ、ウエートトレーニングを他の選手の2倍こなし、夕食では毎日4杯の丼飯をたいらげた。

 3カ月で体重が8キロ増の83キロに。つられて最速は138キロから143キロに上がった。球速が増したことでチェンジアップやカーブが生き、今大会は5試合で35回5失点、40奪三振。指揮官は「本当のエースになってくれた」と目尻を下げた。

 甲子園では前回14年の16強を上回り、頂点を目指す。「強気で攻めることを忘れずにやりたい」。かつて広島・鈴木が背負った背番号1を継ぐ男が、聖地で主役になる。 (原田 真奈子)

 ◆二松学舎大付(東東京)1982年春準優勝。OBに広島の鈴木。

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