ヤクルト セ66年ぶり10点差逆転勝利 大松今季2度目代打サヨナラ弾

[ 2017年7月27日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト11―10中日 ( 2017年7月26日    神宮 )

<ヤ・中>10回1死、サヨナラ本塁打の大松(右)はバレンティンに祝福される
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 ヤクルトは26日、中日戦で球史に残る大逆転劇を演じた。6回終了時点で0―10の劣勢を追いつき、延長10回に代打・大松尚逸内野手(35)が右中間へサヨナラ2号ソロを放った。10点差の逆転勝利は史上4度目のプロ野球タイ記録で、セでは66年ぶり。大松も史上4人目のシーズン2本目の代打サヨナラ本塁打と、記録的1勝となった。

 球場全体が異様な期待感に包まれる中、代打・大松の打球が右中間席に吸い込まれた。延長10回1死。中日・伊藤の初球、147キロ直球を完璧に捉えた打球が、終盤から降り始めた雨粒を切り裂き、歴史的大逆転のフィナーレとなった。

 「とにかく塁に出ることが大事だった。後ろには(山田)哲人もいるし。今日の雰囲気だと、何かしら起きると思っていた」

 5回で0―10となった。だが、6回の攻撃前。三木ヘッドコーチが選手を集めて円陣で「何が起きるか分からない。諦めず、1点を取っていこう」と確認した。7回に代打・中村が左越え2ラン。8点差の8回にはバレンティンの今季初の2試合連発となる2ランから打者14人の猛攻で追いつき、高校野球に負けないドラマを生んだ。

 代打の切り札で起用されながら、最近17打席は無安打。昨季までチームメートだったロッテ・福浦に代打の心得を聞き「心の支えになっている」。父・三郎さん(66)からも前日に「打席での顔が暗いぞ」と指摘を受けたが「去年のこの時期に比べたら野球ができているだけで幸せ」と前を向き続けた。

 21日の阪神戦まで続いた今季ワーストの14連敗中。三木ヘッドコーチから「若い子に助言をしたり、できることがあればしてほしい」と求められた大松は20日、休日返上で汗を流した。「何かを感じてもらえたら」。そんな姿勢に、ロッカーが隣の西浦は神宮での試合後、ベンチ裏ミラールームでの素振りが日課となった。5月9日の広島戦に続くシーズン2度目の代打サヨナラ弾は史上4人目。歴史的一発は、プロ野球史上最大タイ、セでは66年ぶりの10点差逆転勝ちに結実した。

 真中監督は「意地を感じた。今年は悪い記録を更新してばかりだった。いい記録もできて良かった」と笑った。2試合連続のサヨナラ勝ちで今月初の連勝。そして負ければ自力CS消滅の一戦で、最後まで諦めない姿勢を全員が感じた。 (川手 達矢)

 ≪本塁打決着は初≫ヤクルトが10点差を逆転しサヨナラ勝利。最大10点差からの逆転勝ちは4度目だが、本塁打での決着は初めてだ。また、ヤクルトの最大得点差逆転勝利は99年4月28日巨人戦の8点差(1―9→10―9)だった。

 ≪最多タイ記録≫大松が2本目の代打サヨナラ弾。シーズン2本の代打サヨナラ本塁打はプロ野球4人目の最多タイ記録。チームでは鵜久森も4月2日DeNA戦で代打満塁サヨナラ弾。同一球団で年間3本の代打サヨナラ本塁打も、56年巨人(樋笠2本、加倉井1本)以来61年ぶり2度目のプロ野球最多タイとなった。

 ≪大リーグでは12点差≫大リーグでは12点差が最大逆転勝ち。過去3度あり、最近では01年8月5日にインディアンスが、佐々木、イチロー所属のマリナーズに3回終了時点で0―12と大量リードを許したが、9回に佐々木を攻略して14―14の同点。延長11回の末、15―14でサヨナラ勝ちした。

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