大谷が球宴後に見せた充実の表情 今年もかけがえないのない経験に

[ 2017年7月23日 09:30 ]

<パ・セ>本塁打競争に出場した大谷
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 日本ハム・大谷の言葉を聞いてホッとした。5年連続5度目の球宴。第1戦後のことだ。本塁打競争は1回戦で敗れ「3番・DH」で出場した試合も2打数無安打だったが「毎年、毎年、人も代わるし雰囲気も違う。雰囲気を楽しむことができた。出られてよかった」と笑顔で話した。

 左太腿裏の肉離れの影響で出場8試合でのファン投票選出。当初、大谷は「複雑だけど選んでいただいてありがたい」と素直な胸の内を明かした。7月12日のオリックス戦で今季1軍初登板。遠征先の大阪から名古屋に移動した球宴前日の13日は、報道陣の問いかけにも会釈で応じただけで宿舎入り。今年の主役は自分ではない――。そんなメッセージを感じてならなかった。

 復帰したばかりとはいえ、その気持ちは冒頭の結果となって表れた。しかし、球界最高峰の打者、そして投手とのぶつかり合いが大谷の闘争心を呼び覚ましたように見えた。何より野球小僧らしい笑顔を取り戻した。第2戦も本塁打競争は1回戦敗退で、試合も代打で凡退。昨年に続くMVP獲得を逃したが「元々、少ししか(試合に)出ていない中で選んでもらった。その中で勉強になることはあった」と、試合後は充実の表情だった。

 投打で沸かせた過去4年と違い、今年は大谷が大きく紙面を飾ることはなかった。だが、これまでの球宴と同様かけがえないのない経験を得たはずだ。球宴直後の笑顔がそれを物語っていた。懸命にもがき、苦しむ二刀流5年目。爆発的な進化を遂げる前兆であるような気がしてならない。(記者コラム・柳原 直之)

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2017年7月23日のニュース