ダルと同時期手術コブの投げ合いに見えた、日本の術後ケアの憂い

[ 2017年7月23日 09:00 ]

ア・リーグ   レイズ3―4レンジャーズ ( 2017年7月21日    セントピーターズバーグ )

<レイズ・レンジャーズ>8回0/3を投げ3失点と好投したレイズ先発コブ
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 【記者フリートーク】レンジャーズのダルビッシュはこの試合で、同じ15年に右肘のじん帯再建(通称トミー・ジョン)手術を受けたレイズの右腕コブと投げ合い、互角の投手戦を演じた。ダルビッシュはリハビリに14カ月、コブは15カ月を費やした。復帰まで球団が十分に時間を与えた成果が見えた。

 レイズのケビン・キャッシュ監督は言う。「彼らのようなベストプレーヤーが健康な状態で戻ってくることはとても大事。そのためにも辛抱強く彼らのリハビリを見守っていかないと。時間を与えるだけじゃない。本当に彼らの調子が出てくるのは20カ月後。そういう認識でじっくり見守る」。新しいじん帯が肘になじむまで、復帰を急がせないよう球団としてサポートする重要性を強調した。

 昨年春。ダルビッシュは日本球団のトミー・ジョン手術を受ける選手へのサポートが十分ではない上、復帰を急がせがちな傾向に警鐘を鳴らしていた。ある後輩投手は別の投手の事例に合わせて11カ月での復帰を強いられたため、球速が15キロ以上落ちて選手寿命を縮めたという。「球団の方もリハビリについてよく知らないし、医者の方も手術の仕方は知っていても、どうリハビリをすればいいかは分かっていない。しっかりしたリハビリ施設も日本の各地に必要。こっち(米国)は病院が連携して情報共有もできる」と訴えた。

 対照的に大リーグではノウハウが蓄積・改善され、成果が年々上がっている。ア・リーグ最多タイの12勝を挙げているバルガス(ロイヤルズ)、両リーグ最多の30セーブを挙げているホランド(ロッキーズ)は、いずれも15年にトミー・ジョン手術を受けた選手だ。

 この試合でダルビッシュは8回101球を投げて3失点。コブは8回0/3、99球を投げて3失点と、ともに完投ペースの息詰まる投手戦だった。試合後に「こういう試合を見れば、日本球界の意識も変わるのでは」と水を向けると、ダルビッシュは答えた。「そうなってほしいですけど、今までもそうなってこなかったので、特に響かないんじゃないかと思いますけど」。その悔しそうな口ぶりから、変化を望む痛切な思いが伝わってきた。(大リーグ担当・奥田秀樹通信員)

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2017年7月23日のニュース