【福島】聖光学院 戦後最長11連覇の秘密 冬場の“下克上”競わせる

[ 2017年7月23日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権福島大会決勝   聖光学院5―4いわき光洋 ( 2017年7月22日    福島県営あづま )

<聖光学院・いわき光洋>サヨナラ勝ちの瞬間、ベンチを跳び出す聖光学院ナイン
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 試合後のインタビュー。聖光学院・斎藤智也監督の目は真っ赤だった。珍しく言葉を詰まらせ、こう言った。

 「秋に出られなかった選手が頑張ってくれた」。サヨナラ勝ちでいわき光洋を下し、戦後最長記録を更新する11連覇を達成。立役者は昨秋に主力ではなかったメンバーで、王者の底力を見せつけた。

 春の県大会決勝で18―3と大勝した相手に2度追いつかれる展開。それでも9回1死満塁から8番の渡辺が「信念を持って振れた」と初球を強振し、中堅の頭上を越えるサヨナラ打で決着をつけた。昨秋は控え選手。完投した右腕・前田も昨秋は先発機会に恵まれず、先制打を放った松本はベンチ外だったが「頑張れば舞台に立てて結果を出せると信じていた」と胸を張った。

 選手層が厚く、王座に君臨し続けられる理由は、冬場の「下克上」にある。例年、秋の公式戦を終えると、春先まで学年別で練習を行う。現3年生は斎藤監督が束ね、徹底的に競わせる。昨年4月に完成した全面人工芝の室内練習場ができて初めての冬。存分に活用し、選手の誰もが「自主練習の量だけはどの代にも負けない」と声をそろえる。

 11連覇のうち、サヨナラ勝ちは4度目。この日も好機を逸し続け、追いつかれた8回、斎藤監督は「“自業自得だ”と言ったら(選手は)笑っていたので、大丈夫だと思った」と明かす。甲子園ではベスト8が最高。「忘れたものを取り戻しにいきたい」と指揮官。8強の壁を打破し、日本一を目指す夏はここから本番を迎える。 (池田 翔太郎)

 ◆聖光学院(福島)普通科と工業系学科のある私立校。陸上なども強い。

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2017年7月23日のニュース