海老蔵からの“金言”胸に刻み、復活への活力とする赤松

[ 2017年7月21日 10:30 ]

大野練習場で本格的にトレーニングを再開した赤松
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 恐縮し、思い切り感激していた。胃がん切除手術からの復活を目指し、3軍でトレーニングを再開した広島・赤松に、望外のメッセージが届いた。ご回復をお祈りします―。歌舞伎俳優・市川海老蔵さんのブログにしたためられたものだ。

 「ボクレベルの人間に、全国区の海老蔵さんがエールを送ってくださる。すごく力になるし、励みになる。本当にうれしいです」

 小林麻央さんのブログが支えだった。同じ34歳。面識はないが、「しんどいのに毎日ブログを更新され、すごく強い方。つらさはわかるので、身近に感じていた」。6月22日に死去。夫の海老蔵さんが開いた翌23日の会見は、抗がん剤治療中に見た。泣いた。その人からのメッセージ。赤松には金言だった。

 「今まではボクもブログで発信する側だった。同じ立場の人たちに勇気を与えられたら…と。それが初めてエールをもらい、力のある人の言葉がどれだけ影響力あるか、身に染みて痛感した。とても不思議な感覚です」

 過酷な現実を突きつけられていた。1月に手術を受け、入院中の病理検査でリンパ節への転移が複数判明。担当医からはステージ3と説明された。ショックだった。リハビリをこなせば再び野球ができるという希望はしぼみ、「頭の片隅にも無かった」抗がん剤の投与を受け入れた。

 約半年に及んだ、その苦しい治療も終了。動き始めて10日が経過した。今はまだ「2〜3キロ落ちた」筋肉量を元のレベルに戻し、心肺機能を高めるトレーニングが中心。週明けの25日から3軍のアップに合流し、徐々にノックやティー打撃といった、野球の動きを取り入れる予定だ。

 正直、不安は打ち消せていない。先日受けた6カ月検診は異常なしだったが、手足にはしびれが残り、5年間は再発リスクもつきまとう。「安心はできない」。月に一度は血液検査、秋にはX線を使って患部の断面を撮影するCT検査が待つ。一歩を踏み出したが、「自分の中では薄曇りの状態」という。

 「合流したけど、意外にイケるやん…じゃなかった。思ったよりも動けていない。でも頑張りますよ。とことんまでやって、結果は神のみぞ知る。たとえ思い通りにならなくても、今やっていることは間違いじゃない。そう信じていますから」

 市川海老蔵さんからの金言を、復活への活力とする赤松。楽観視はできない。それでも口調は明るく、言葉からは達観した強さを感る。1軍の舞台に戻る日を、全快宣言を、信じて待ちたい。(江尾 卓也)

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2017年7月21日のニュース