“大人の雰囲気”感じさせるトヨタ自動車 初戦先発・川尻は明確な目標設定してのもの

[ 2017年7月15日 18:15 ]

<九州三菱自動車・トヨタ自動車>力投するトヨタ自動車先発・川尻
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 都市対抗野球が14日に開幕した。前年優勝のトヨタ自動車が開幕戦に登場し、九州三菱自動車と延長12回、タイブレークの末に勝利し2回戦へ進出した。

 スコアだけをみれば“薄氷”の勝利だが、首脳陣も選手も試合後はいつも通りの落ち着いた雰囲気のまま。試合中もあわてることなく、主導権を渡すことはなかった。

 先のことを考えたとしても2回戦まで余裕があるから、初戦は橋戸賞男・佐竹の先発が有力視された。しかしマウンドに立ったのは川尻だった。「1年間、一生懸命やってきたからやってくれると思っていた」と桑原大輔監督は信頼して送りだした。佐竹を先発させず初戦で負けたら批判を浴びるケースも指揮官の「佐竹以外の投手を育てていく」の思いは強かった。事実、川尻が9回1死まで1点に抑え、ベンチの期待に応えた。そして同点のこの場面。1死二塁で一打出れば勝ち越されるケースで川尻を交代させ、救援に送ったのが藤田。ベンチ横で佐竹がキャッチボールをこなしていたから、相手は佐竹が来ると思っただろう。その藤田が1人を抑え、今度こそ佐竹と思わせて3番手は左腕竹内。救援2人がきっちり役目を果たし、延長から佐竹がマウンドに立った。

 試合後、9回の場面を佐竹に聞いてみると「いろいろ作戦面のことがありますからね」ニヤリ。先発でもなく、救援でもない。そして延長になって満を持しての登板。10回から九州三菱自動車をノーヒットに抑えて、藤岡の劇的なサヨナラ満弾を引き出した。

 宮市達也GM兼部長と桑原監督が関西を中心に、今井崇夫副部長(GM補佐)が関東を中心に回って選手補強をこなす。明確な目標を設定してのチーム作り。会社も豊田章男社長を先頭に東京ドームに1万を越える社員を動員してチームをバックアップする。前年優勝チームは補強がなく単独チームでの出場となり、それゆえ連覇は難しいとされる。しかし今のトヨタ自動車は大人のチームの雰囲気が漂い、連覇の可能性を感じさせる初戦の戦いだった。(落合 紳哉)

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2017年7月15日のニュース