【大阪】履正社・安田、ゴジラに並んだ60号 急逝先輩へ捧げた

[ 2017年7月15日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権大阪大会   履正社9―0常翔啓光学園 ( 2017年7月14日 )

6回2死三塁、右越え2ランを放つ履正社・安田
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 第99回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の地方大会は27大会で195試合が行われた。大阪大会では今秋ドラフト候補の履正社・安田尚憲内野手(3年)が、初戦で星稜・松井秀喜(元ヤンキース)に並ぶ高校通算60本塁打を放った。15日は47大会413試合が行われる。

 逆風を切り裂いた打球は、美しい弧を描いて右翼の芝生席中段に届いた。7点リードで迎えた6回2死三塁。安田は6球目のチェンジアップを仕留めた。「2球連続で内角球が来た。最後は落としてくる」。ファウルを2つ続けてしのいだ直後。配球を読み切り、うまくバットで拾った技ありの一発だった。

 早実・清宮と並び称される「西」の注目スラッガー。3季連続の甲子園を狙うラストサマーは、節目の高校通算60号で幕を開けた。幼少期から強い憧れを抱く、松井秀喜氏の数字にようやく並んだ。「早い段階で打ちたかったですし、幸先よく1本が出て良かった。目標にしていた数字なので光栄です」。1〜3打席はバットを振ることなく四球を選んだ。今夏3スイング目で豪快に放り込んだ。

 ベース一周で少しだけ空を見上げた。昨夏の甲子園をともに戦った福田観大さん(享年18)が8日の水難事故で急逝。12日は2、3年生で通夜に参列した。2日に茨木グラウンドであったOB戦で再会し、激励を受けたばかりだった。安田にとっては中学校時代に在籍した「レッドスターベースボールクラブ」の先輩でもあった。

 「なかなか信じることができなかったですし、凄く残念です。活躍する姿を福田さんに見せるのが自分の役目だと思います」

 安田をはじめ、ベンチ入りメンバー全員が福田さんの名前が入った青いタオルを使った。悲しみから踏み出した力強い一歩。安田のアーチは、前進の象徴だった。 (吉仲 博幸)

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2017年7月15日のニュース