【大阪】履正社・安田60号 ソフトバンク“ポスト松田”に熱視線

[ 2017年7月15日 08:40 ]

第99回全国高校野球選手権大阪大会1回戦   履正社9―0常翔啓光学園 ( 2017年7月14日    花園 )

 第99回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の大阪大会は、今春の選抜大会で準優勝した履正社が7回コールド勝ち。今秋ドラフト上位候補の安田尚憲内野手(3年)が星稜時代の松井秀喜氏(元ヤンキースなど)に並ぶ高校通算60号を放ち、8日に急逝した先輩に勝利をささげた。

 逆風を切り裂いた打球は、美しい弧を描いて右翼の芝生席中段に届いた。7点リードで迎えた6回2死三塁。安田はカウント2―2から6球目のチェンジアップを仕留めた。「2球連続で内角球が来た。最後は落としてくる」――。直前の2球をファウルした後、配球を読み切り、うまくバットで拾った技ありの一発だった。

 3季連続の甲子園出場を狙うラストサマーは、節目の高校通算60号で幕を開けた。幼少期から強い憧れを抱く、松井秀喜氏の数字にようやく並んだ。「早い段階で打ちたかったですし、幸先よく一本が出て良かった。目標にしていた数字なので光栄です」。前3打席は一度もバットを振ることなく四球。今夏3スイング目で豪快に放り込んだ。

 ダイヤモンドを回りながら、少しだけ空を見上げた。昨夏の甲子園大会をともに戦った福田観大さん(享年18)が8日に水難事故で死去。12日は2、3年生で通夜に参列した。2日に同校の茨木グラウンドで開催されたOB戦で再会し、激励を受けたばかりだった。安田にとっては中学時代に在籍した「レッドスターベースボールクラブ」の1年先輩でもあった。

 「なかなか信じることができなかったですし、すごく残念です。活躍する姿を福田さんに見せるのが自分の役目だと思います」

 安田をはじめ、ベンチ入りメンバー全員が福田さんの名前が入った青いタオルを使用した。主将の若林は「福田さんに力を借りると言いますか、見守っていてくれるかなと思いました」とチームの総意を代弁した。岡田龍生監督も「福田の分まで、しっかり野球をやってほしいと伝えました」と言葉に力を込めた。悲しみに暮れた8日から、部員59人は力強い一歩を踏み出した。(吉仲 博幸)

 〇…オリックス、日本ハム、DeNAなど6球団9人のスカウトが視察した。「ポスト松田」として安田に熱視線を送るソフトバンクの小川一夫編成・育成部部長は「甘い球を打ち損じることなく本塁打にした。当たれば、飛ぶね。三塁を守れる大型野手として可能性を感じるし、スケールも大きい」と評価。ヤクルトの阿部健太スカウトも「ひと振りで仕留めた長打力は魅力」と絶賛した。

続きを表示

2017年7月15日のニュース