増渕竜義さん「掃除から始めた」野球塾 地元埼玉で子供たちに託す思い

[ 2017年7月12日 09:30 ]

現役時代の増渕竜義氏=15年3月撮影
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 春先に携帯電話が鳴った。かつて担当していたヤクルト、日本ハムで投手として活躍した増渕竜義さんからだ。4月から埼玉県上尾市で野球塾を始めるという報告だった。

 それから3カ月。少し遅くなったが、子どもたちに野球を教えている姿を見ようと野球塾に足を運んだ。大きな倉庫を改造した室内練習場。フットサルも十分にできるぐらいの大きさだった。増渕さんは「最初はほこりだらけの中、掃除から始めた」と笑うが、今ではきれいな人工芝が敷き詰められている。

 子どもたちは打撃練習を行っていた。練習場をネットで4カ所に区切り、打撃マシン2台で硬球、軟球を打てるように分けていた。さらにティー打撃、その奥では投球練習ができるスペースもつくっている。プロ球団の室内練習場と大きな差はないほどの充実度だ。

 「小中学生だけではなく、たまに大人も教えてほしいって言ってくることもあるんですよ。地元の人とのつながりも少しずつ増えてきました」

 2年前、日本ハムでユニホームを脱いだ。現役時代は東京都内で生活を送っていたが、今月になって生まれ育った埼玉県内に引っ越し、戻ってきた。「これで晴れて埼玉県民ですよ」。高校時代は埼玉県立鷲宮高で「公立の星」と注目された。引退後にアマチュアを指導できるように学生野球資格回復研修を受講し、現在は高校時代の恩師が指導する上尾高の練習に顔を出すこともあるという。週末には草野球にも興じるという。地元への愛着は強い。

 また、野球塾で教えた子どもたちが出場する大会があれば、観戦に訪れることもある。「(プロ野球でなくても)好きな野球を続けられている。子どもたちに教えている時間も凄く早く過ぎていく。楽しそうに野球をやっている姿を見ると、まるで自分の子どものように感じるんです」。

 野球塾の生徒を引率して、神宮球場にバスで野球観戦に行くプランもあると聞いた。小学4年から始めた野球。自分が大好きな野球を、子どもたちにも大好きになってほしい。そんな気持ちがにじみでていた。(記者コラム・横市 勇)

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2017年7月12日のニュース