おじいちゃんたちの甲子園「500歳野球」 80代のプレーヤーも

[ 2017年7月11日 12:05 ]

9人合計500歳以上で行われる「500歳野球」(大仙市提供大会DVDより) 
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 全国高校野球選手権の地方大会が各地で続々と開幕した。純粋にひたむきに白球を追う姿は、素直に感動させられる。

 夏に心躍らされるのは高校野球だけじゃない。「500歳野球」をご存じだろうか。グラウンドに立つ9人の合計年齢が500歳以上というルールのもとで行われる軟式野球の大会だ。出場資格は原則50歳以上で上限はないだけに、80代のプレーヤーもいるという。その第1回大会が7月15日から秋田県大仙市で開幕する。

 軟式野球の全国大会は一般の選手権大会から退くと40歳以上が対象の「マスターズ野球大会」、60歳以上が対象の「還暦野球大会」があるが、次世代が補強されれば出場機会は減るため選手寿命が短い。一方で500歳野球は健康で体が動くかぎり「生涯現役」を貫くことができる。秋田県ではすでに行われていたが2年前から全国大会開催の機運が高まり、短編映画が作成されるなどメディアからの注目も集まったことで一気に開催の話が進んだ。今回の第1回全国大会は全国から32チームが参加し、最高齢はは84歳。まさに「おじいちゃんたちの甲子園」となりそうだ。

 6月にはコンセプトやネーミングの斬新さ、運営手法などが評価され、スポーツを通じて地域振興に大きく貢献したとして「第5回スポーツ振興賞」の受賞が決まった。大会は地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)が活用され、地方活性化にも一役買っている。

 大仙市教育委員会の伊藤優俊・スポーツ振興課長は「高齢になると自宅に引きこもってしまいがち。おじいちゃんたちが元気でいられるコミュニティを作りかった。試合に出られなくても、練習に来ればサポートしたりそれぞれの役割がある。この流れを全国に広めていきたい」と意義を語る。

 野球は若者だけでなく、おじいちゃんたちにも希望を与える。15日からの熱戦に期待したい。(記者コラム・松井 いつき)

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2017年7月11日のニュース