【大阪】病魔克服の主将が左翼へ適時二塁打 大阪国際大和田、初の夏1勝

[ 2017年7月9日 05:52 ]

第99回全国高校野球選手権大阪大会1回戦   大阪国際大和田4―1刀根山 ( 2017年7月8日    京セラドーム大阪 )

<大阪国際大和田・刀根山>5回2死一塁、左中間に適時打を放った大阪国際大和田・伊藤
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 第99回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)の地方大会は8日、23大会で計110試合が行われた。近畿では大阪、兵庫、京都が開幕。大阪大会では初の開幕戦に登場した大阪国際大和田(おおわだ)が刀根山を破り、2010年の創部以来初めて夏の予選で勝利を挙げた。

 大阪一番星だ!初の開幕戦に登場した大阪国際大和田が部の歴史に新たな1ページを記した。2010年創部で、記念すべき夏の初勝利だ。夏の連敗を7で止めた部員を頼もしげに見つめた薮木隆史監督(28)は「夏の勝利は創部初ですよ」と声を震わせた。

 今春の大阪大会3回戦で好右腕・森田擁する上宮太子に3―6と善戦。昨秋の大阪王者に互角の戦いを演じ、自信を深めた。2年生右腕の村山が気迫の投球で被安打4の8奪三振、1失点完投。5回に左翼へ4点目の適時二塁打を放った伊藤主将は「春に大阪を代表する森田投手からヒットを打って気後れもなかった」と笑った。

 女子マネジャーを含めて34名を束ねる伊藤は病魔に打ち克った、不屈の男だ。小学2年の時、ステージ4の悪性リンパ腫と診断された。半年近く闘病生活を送った後、小3の11月から白球を追った。病床でテレビ観戦した阪神・矢野(現阪神作戦兼バッテリーコーチ)のサヨナラ本塁打が競技を始めるきっかけになったという。

 練習は1日2時間程度。学校に専用グラウンドはなく、運動場はサッカー部とテニス部と共有する。内野守備もままならないスペースしか確保できない環境だが、早朝練習などで補ってきた。

 チームは14年からボランティアがメーンの東北遠征に出向く。11年の東日本大震災で甚大な被害を受けた南三陸町などで農地復興や漁業支援に携わる。「辛い経験をされた方から逆に勇気をいただく。練習環境は言い訳にはならない」と伊藤。純粋に野球ができる喜びを全部員が感じている。(吉仲 博幸)

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2017年7月9日のニュース