【福島】亡き母に捧げる1勝 原町・渡部が1失点粘投

[ 2017年7月8日 21:20 ]

第99回全国高校野球選手権福島大会1回戦   原町5―1あさか開成 ( 2017年7月8日    開成山 )

<原町・あさか開成>亡き母に勝利を届けた原町のエース・渡部
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 原町は5―1であさか開成を破り、2年連続で初戦を突破した。横手投げのエース・渡部将輝投手(3年)が6安打1失点と粘投。昨年末に亡くなった母・智子さんへ勝利を届けた。

 9回、この試合初失点となる1点を失い、なおも2死満塁。ここで渡部の脳裏に、天国にいる智子さんの顔が浮かんだ。「絶対に勝つ」。直球で最後の打者を三振に打ち取った。「完璧ではなかったけれど勝ててよかった。母が見ていてくれたおかげかな」と安どの表情を見せた。

 昨年12月28日に病気で母を失った。秋に捕手から投手に転向して結果が出なかった時期だが、落ち込む姿は絶対に見せなかったという。父・雄一さん(55)は「くじけたら、野球が大好きだった母に怒られると思ったんでしょうね」と話す。

 中学時代、震災の影響で母の地元・秋田へ、母と姉とともに避難した。毎日起きると弁当は完成しており、ユニホームも真っ白。試合も欠かさず応援に来てくれた。亡くして気付いた存在の大きさに「もっと話したかったし、感謝の言葉も伝えればよかった」と今でも後悔することがある。それを機に「野球に対する考え方が変わった」と明かした。

 「この先も感謝の気持ちを忘れず、全力でプレーしていきたい」。悲しみを乗り越えたエースは、母とともに長い夏を駆け抜ける。

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2017年7月8日のニュース