巨人・高橋監督は笑顔が絵になる

[ 2017年7月7日 11:20 ]

6月25日の中日戦で、9回にプロ初のサヨナラ打を放った石川と抱き合う巨人・高橋監督
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 男前は絵になる。巨人・高橋由伸監督が見せた微笑みだ。6月18日のロッテ戦で、亀井が延長12回に逆転サヨナラ3ラン。号泣する愛弟子に対し両手を広げ、穏やかな笑みを浮かべて体を包み込んだ。その高橋監督も「劇的な試合。思い出に残る」と感動した。それから1週間後の25日の中日戦。今度は石川がプロ初のサヨナラ打を放ち、少年時代から憧れだった指揮官の胸に飛び込んだ。

 就任1年目の昨季からだが、ベンチで戦況を見守る高橋監督は常に厳しい表情。そんな印象が強い。喜怒哀楽は滅多に見せない。現役時代もクールだった。それでも本塁打を打った時のガッツポーズや、仁志や清水ら先輩たちとのハイタッチでとびきりの笑顔を見せた。そういえば、現役終盤の打席に入る際の登場曲はSMAPの「オリジナル・スマイル」。それは関係ないが、“由伸スマイル”は絵になった。

 もちろん、笑っていられるチーム状況ではない。昨季以上の低迷を続け、6月には球団ワースト記録となる13連敗を喫した。主力はピークを過ぎ、ドラフトでも好選手を獲得できていない。若手も伸び悩む。FAで加入した陽岱鋼や山口俊も故障で出遅れた。首位を独走する広島や若手が育ってきたDeNAと比べると勢いの差は明らかだ。

 一方で、巨人からトレードで日本ハムに移籍した大田が自身初の2桁本塁打を放つなど才能を開花させた。しかし、大田が今季も巨人にいて活躍できたかと問われれば、疑問符が付く。常に優勝を求められる巨人で結果を残すことは容易ではない。今も昔も選手層は厚く、ごくわずかなチャンスをつかまなければスタメンから外される。技術はもちろんだが、相当な精神力を持ち合わせていなければ、巨人ではレギュラーは奪えない。

 良くも悪くも、ハードルが高い球団。だから常勝軍団を築けた。ただ、97〜99年に3年連続、03〜06年に4年連続でV逸したように一度崩れると、立て直すためには時間がかかる。フロントも起用法などに口を出す前に、長期的な視野に立って育成と補強の融合に力を入れたほうがいい。

 ところで、高橋監督は誰かがサヨナラ打を放ったときにしか、あのスマイルは見せないだろう。いっそのこと、東京ドームに高橋監督の等身大人形を置いたらいい。もちろん両手を広げて、微笑みながら選手を迎えるポーズだ。高橋監督は嫌がるだろうが、試合を観戦に来た子供たちは抱きついて喜ぶはずだ。(記者コラム・飯塚荒太)

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2017年7月7日のニュース