笑って海を渡った森慎二さん「英語?できませんよ 何とかなるでしょ 同じ野球ですから」

[ 2017年6月29日 18:47 ]

 1メートル90近い長身。一見、豪快なイメージだが、照れ屋でもあった。群れるタイプではなかったが、面倒見は良く、後輩からは慕われていた。記者の質問には足を止め、必ず真っすぐ目を見て答えた。森慎二さんはそんな男だった。

 05年オフ。以前から熱く訴えてきた「夢」をかなえてポスティング・システムでメジャーに挑戦した。デビルレイズ入りが決まると「英語?できませんよ(笑)でも向こうに行けば何とかなるでしょ。同じ野球ですから」と笑って海を渡った。翌春、メジャーでの実戦初登板となったオープン戦マウンド。わずか3球で右肩を脱臼。夢はついえた。悔しかっただろう。リハビリも実らず、2度とマウンドには戻って来なかった。

 05年2月の宮崎・南郷キャンプ休日前。ふらりと入った日南市の小さなカラオケバーで、森慎二さんは先客としてカウンターで後輩投手と飲んでいた。歌もうまかった。オレンジレンジの「花」を、後輩とのデュエットで完ぺきに歌い上げると、拍手喝采に照れていた。歌詞にあった“花びらのように散りゆく中で…”。まだ42歳。散るにはあまりに早すぎるよ。(牧田 大一=05年西武担当)

続きを表示

2017年6月29日のニュース