難病と闘うヤクルト・徳山 由規の再起励みに…いつか親友リレーを

[ 2017年6月22日 09:30 ]

ヤクルト・徳山
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 6月14日の楽天戦。ヤクルト・由規がフォークを投げた。わずか数球だったが「少しずつ良くなっている。首を振って、自分の意志で投げることができている」と手応えにうなずいた。これを伝え聞き、自分のことのように喜んだ男がいた。チームメートの徳山だ。

 由規とは同い年。日頃から仲が良く、由規が2軍で調整している時はキャッチボールでもコンビを組むことが多い。フォークの握りを助言したのもキャッチボール中だった。「フォーク、投げられるようになったみたいですね。良かった。やっぱり同級生の活躍は、自分にも励みになります」。由規と同じように、何度も何度もうなずいた。

 徳山は闘っている。昨年11月、国の難病に指定されている黄色靱帯(じんたい)骨化症の手術を受けた。異変を感じたのは約1カ月前のファーム最終戦だった。試合後、歩いていると左膝の力が抜けるような感覚に陥ったという。「膝カックンをされたような感じでした」。病院に行っても原因不明。不安を抱え、宮崎で行われたフェニックス・リーグに参加した。

 症状は悪化するばかり。帰京後、再び病院で検査を受け、病名が判明した。「黄色靱帯(じんたい)骨化症のことは知ってました。大隣さん(ソフトバンク)や越智さん(元巨人)や。新聞記事で見てましたから」。診断直後は冷静さを失った。「もう野球は終わりになるかな。ダメになるのかな」。不安が募った。

 同僚・久古の紹介で大隣と連絡を取れた。もう戦列に復帰していた左腕。手術から術後の経過、現在に至るまで。詳細に聞き、助言ももらった。手術も同じ都内の病院で受けることができた。「他のチームですが、親身になって頂いて。本当にありがたかった」。手術を受ける前に、自分と向き合うことができた。

 術後は懸命にリハビリを続けた。手術を受けた背中の皮膚が引っ張られるような感覚があり、イメージ通りのボールを投げられない日もあった。そんなとき、思い浮かべるのは由規のことだ。「こっちは背中(の手術)。向こうは肩。想像できないくらいの不安と闘ってきたと思う。それに比べたら、自分は全然大丈夫だと思えるんです」。

 現在は2軍戦で登板できるまでに回復。中継ぎとして9試合で1勝0敗、防御率0・87と成績も残す。「まだ、“あれ?”という日もあるけど、だいぶ良くなっている」。由規は今年、ここまで1軍で2勝。先発の由規は完投が理想だが「由規―徳山」の親友リレーも見応えがある。困難を乗り越えた2投手の継投が実現すれば、同じような苦境にいる人々に勇気を届けることができる。(記者コラム・川手 達矢)

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2017年6月22日のニュース