ロッテ・サントス 反骨心が生んだ“走り打ち”「パワーある選手に負けない」

[ 2017年6月22日 11:10 ]

大反撃のカギとして期待されるサントス
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 5月下旬に新加入したロッテのロエル・サントス外野手(29)が注目を集めている。キューバ代表として出場した3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも「走り打ち」を披露したが、新天地でも3度成功させるなど、17試合に出場して、打率・339をマーク。新助っ人にしかできない特異な打撃スタイルのルーツを探った。 (町田 利衣)

 左打席に立ったサントスは、相手投手の投じた球に合わせて走りだしながらバットを出す。代名詞となったのが「走り打ち」だ。初出場した5月31日阪神戦では空振り三振に倒れたが「自分のスタイル」という技を早速披露した。

 「17歳のときに始めた。元々、自分はスピードがあった。それを生かすにはどうしたらいいか、何とか出塁するためにと始めたのがきっかけだよ」

 キューバでは車のハンドルを意味する「ティモン」と呼ばれる「走り打ち」。踊りながら打つように見えることから「バレリーナ」の異名も取る。幼少期に祖父がプレーしていた姿に憧れて始めた野球。現在も1メートル73、79キロと決して大きくないが、当時もそうだった。反骨心が、最大の武器を生み出した。

 「周りには背の高い選手も、パワーのある選手もいた。でも自分には足があるからその人たちに負けない、と思ってここまできた。祖父は走り打ちはしていなかったよ」

 同郷の中日・リナレス巡回コーチは「キューバでは足が速い左打者は走り打ちをする選手が多い」と説明し、キューバ国内リーグで2000安打を達成したルイス・ウラシア氏らを例に挙げた。しかし、サントスは自身の「走り打ち」に強いこだわりを持つ。

 「似たようなことで歩きながら打っているのは見たことがあるが、自分とはスタイルが違う。自分と全く同じようなことをしている人は見たことがない」

 今季19安打中、3本が「走り打ち」の成功だった。

 「ボールがどのあたりに来るかを考えて、それに合わせて腕をこねる。ボールの上で叩くようにして、バウンドで内野手の頭上を越えることを狙っている。走者がいる場面では基本的にはやらないが、打席に入るギリギリまでやろうかどうか考えている」

 キューバに人工芝のグラウンドはない。土は慣れているし、人工芝はボールが跳ねやすいためやりやすいという。環境面でも問題なく、適応している。日本の生活もそうだ。来日して1カ月を迎えるが、食事はラーメンや焼き肉がお気に入り。最近ではスパムおにぎりがおいしかったと笑う。「サンちゃん」の愛称で同僚から親しまれるサントスの活躍は、キューバに住む家族や友人も、インターネットのニュースを読んで喜んでいる。

 「走り打ちすることでファンが喜んでくれているし、記者の方もいろいろと聞いてくれる。それで僕のことを知ってもらえれば凄くいい。これからもやっていきたいと思う」。キューバから日本へ――。自分だけの武器を携え、異国での挑戦は続いていく。

 ◆ロエル・サントス 1987年9月15日、キューバ生まれの29歳。マニュエルファハルド国立体育大から、08〜15、17年はキューバ国内リーグのグランマに所属。16年にカナダ独立リーグ・ケベックでプレーした。キューバ代表として14年中米カリブ大会、15年パンアメリカン大会、17年WBCに出場。1メートル73、79キロ。左投げ左打ち。

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