巨人・山口俊 辞任の堤前GMに謝罪していた「このままでは終われない」

[ 2017年6月15日 05:30 ]

日本生命セ・パ交流戦   巨人3―0ソフトバンク ( 2017年6月14日    東京ドーム )

お立ち台で涙を流す移籍後初勝利の山口俊
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 巨人は14日、ソフトバンク戦で3投手の継投による無安打無得点試合を達成した。セ球団では初の快挙。昨秋にDeNAからFA移籍した山口俊投手(29)が移籍後初登板で6回を無安打の力投で歴史的な1勝を呼び込んだ。異例のシーズン中のGM交代劇で、鹿取義隆GM(60)が就任した13日から再出発の2連勝だ。

 うれしさ、悔しさ、安ど感。いくつもの感情が折り重なってこみ上げてきた。山口俊が初めて上がった東京ドームのお立ち台。「初めまして!山口俊です!」。笑顔のあいさつの直後、自然と涙があふれ出てきた。

 「凄く長かったですし、勝ててホッとしています。そうですね…チームに迷惑をかけていましたし…」

 初回から150キロをマークするなど腕を振った。6回の川崎の打席では、テークバック時に手が右太腿に当たり、ボールがこぼれ落ちるボークもとられた。招いた2死一、三塁。今宮を145キロ直球で二ゴロに仕留めた。102球を投げ無安打無失点。尾花投手コーチには「(7回も)いけます」と伝えたが、「疲れていた。球速も落ちていた」というのが本音だ。「勝つことだけにこだわった。0点に抑えられて最高です」。がむしゃらに腕を振った。FA移籍して初登板初先発で無安打勝利は史上初。右腕の気迫が、リーグ史上初の継投での無安打無得点を生んだ。

 2月のキャンプイン直前に右肩に違和感を覚え、3軍での長いリハビリの生活。「いけるかなと思ったら、また投げられなくなる。その繰り返しがきつかった。もう自分が思い描く投球はできないのかなと不安だった」。投球練習再開後に小谷巡回投手コーチとフォームを徹底的に見直した。「投球のポイントは(へその下の)丹田にある」。体の中心を軸にしながら力強い球を投げ込む。原点に立ち返った。

 5月下旬から1軍は球団ワーストの13連敗。獲得に尽力してくれた堤辰佳氏はGM職を引責辞任した。「自分にも責任がある。申し訳なかった」。13日の試合前、退任の報告のために東京ドームを訪れた堤氏に「すみませんでした」と謝罪。「このまま終われない。結果を出すことでしか示せない」という決意が快投を呼んだ。

 開幕から2カ月以上の空白は戻らない。「ここからチームに貢献できれば、苦しい期間もプラスだったと言える」。チームのために腕を振る。その先に心から笑える日が来ると信じている。 (重光 晋太郎)

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