ミスターの母校愛 全日本大学選手権決勝観戦の舞台裏

[ 2017年6月15日 07:40 ]

全日本大学野球選手権で母校・立大が59年ぶりの優勝を果たし、笑顔の長嶋氏
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 東京六大学野球の立大が、全日本大学野球選手権で59年ぶりの優勝を果たした。翌日に池袋で行われた優勝パレードには沿道に7000人が詰めかけ、待ちに待ったリーグ優勝と日本一に沸いた。

 OBで巨人の長嶋茂雄・終身名誉監督が決勝観戦に訪れたことは大きな話題となった。

 連盟や関係者に観戦する旨の連絡が入ったのは決勝当日の午前7時30分。神宮球場も関係者入り口付近を封鎖するなど受け入れ体制を整え、異様な雰囲気に包まれていた。

 何より長嶋氏が神宮で観戦したこと自体がすごいことだった。なぜかといえば神宮はバリアフリー対応の球場ではなく、エレベーターなども設置されていない。長嶋氏が観戦した貴賓席に行くには、ビル3階分相当の階段を上らなければならない。04年に脳梗塞で倒れて以降、現在は杖も使わずしっかりとした足取りで歩いている長嶋氏だが、階段の上り下りは負担になる。1階でもモニターなどで見ようと思えば見られるが、やはり長嶋氏には特等席で見てほしい。関係者の間にももどかしさはあった。それだけに長嶋氏の生観戦は報道陣も含め、関係者に驚きを持って迎えられた。

 長嶋氏は母校の半世紀以上ぶりの戴冠を見ようと、一段一段、懸命に階段を上ったという。ちょうど席に着くと初回の攻撃で立大が逆転劇を展開。笑顔があふれた。試合中に校歌が流れた時には、関係者が「校歌、覚えてますか?」と聞くと「覚えてるよ」とうれしそうに口ずさんだという。学生野球の観戦は大学卒業以来。様々な思い出が一気に蘇ったのだろう。

 試合後も日本一の興奮冷めやらず。立大関係者と固い握手を交わすと「初回のホームランは素晴らしかったね!」などと談義が止まらない。報道陣に囲まれると「(初回の大東の)ホームランはプロでもないような打球。リリーフの下手投げの投手(中川)もワンシーム、ツーシームを投げ分けて素晴らしかった」と褒めちぎった。

 上った階段が、長嶋氏の立教愛を示す何よりの証だった。

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2017年6月15日のニュース