【キヨシスタイル】ハム大田とダブる…由伸監督は岡本にもう一度チャンスを

[ 2017年6月13日 08:00 ]

巨人・岡本
Photo By スポニチ

 青年よ大志を抱け。札幌農学校のクラーク博士も喜んでいるんじゃないかな。巨人から日本ハムに移籍してきた大田泰示の活躍。

 凄かったねえ。9日からの古巣相手の3連戦(札幌ドーム)。10打数7安打、2本塁打と打ちまくった。巨人8年間で9本塁打だったのに、今季早くも8本。環境で選手はこんなに変わるんだ。

 常勝が求められ、ミスが許されない雰囲気のある巨人。失敗しちゃいけないという思いから受け身になり、本来の長打力を生かせなかった。1年目のキャンプ初日にいきなりフォーム改造させられたのも気の毒だった。松井秀喜の背番号55を与えられたのも重圧になったんだろうね。

 そんな未完の大器にずっと目を付けていたのが栗山監督。私に会うたびに「いい選手ですよね」と話してた。巨人にFA移籍した陽岱鋼(ヨウダイカン)の穴を埋めるべく吉川光夫らと2対2のトレードを決めたんだけど、陽岱鋼と1対1で交換してもいいくらい欲しかったらしい。その期待感は泰示に十分伝わっていると思う。

 指導者との出会いって凄く大きい。私にとっては長嶋さん。駒大から巨人に入団して3年間2軍にいた下手くそに他の選手の4、5倍チャンスをくれた。失敗を前向きに捉え、元気に声を出していたのが認められた。そう自負してるけど、長嶋さんが監督でなきゃ「絶好調男」は生まれなかった。

 どんなスーパースターだって一発目から答えを出し続けるのは無理。指導者が将来こうなる器と見込んだ選手にどんな環境を与え、どれだけ我慢できるか。あの王さんだってデビューから26打席ノーヒット。水原監督が使い続けて世界のホームラン王になったんだ。

 そこで巨人の由伸監督、岡本和真にもう一度トライさせてほしい。雰囲気が出てきた3年目の今季、開幕1軍に入れて先発起用しながら、打率・227と結果が残せないまま12試合で2軍に落とした。我慢のしどころだったんだけどなあ。泰示とダブるんだ。

 長いトンネルから抜けたとはいえ、厳しいチーム状況が続いている。空気を変えるには勢いのある若い選手が一番。岡本の能力を信じて託してほしい。ファンも望んでると思う。(本紙評論家・中畑 清)

続きを表示

2017年6月13日のニュース