マレーロ 長嶋以来59年ぶり“踏み忘れ”翌日弾「盛り上がっていたね」

[ 2017年6月11日 05:33 ]

日本生命セ・パ交流戦   オリックス5―3中日 ( 2017年6月10日    京セラドーム )

<オ・中>4回、左越えに先制ソロを放ち、両足でしっかりとホームベースを踏むマレーロ
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 大歓声を背にゆっくりと三塁を蹴ると、オリックス・マレーロの視界には笑顔で本塁を指さす一塁ベンチの仲間たちが飛び込んできた。「からかい半分だろうけど、見えていたよ。盛り上がっていたね」。本塁手前で速度を緩め、中日捕手・松井雅の見守る前で、左足、続いて右足と、しっかりと両足でかみしめるようにベースを踏んだ。

 今度こそ、文句なしの来日初アーチだ。0―0の4回無死。1ボールからの真ん中低め136キロ直球を振り抜いた打球は、左中間5階席へ一直線に向かった。デビュー戦となった前日は5回に左中間席に運びながら、本塁ベースを空過。中日側のアピールにより本塁打は取り消された(記録は三塁打)。自らがベースを空過して取り消された翌日の“打ち直し”は、58年長嶋茂雄(巨人)以来2人目だ。1点を追う8回無死二塁では四球でつなぎ、中島の右翼線への逆転二塁打で生還。決勝のホームもしっかり右足で踏んだ。

 来日初のお立ち台では、前日の本塁生還直前に接触し、踏み忘れの一因となった球団マスコットの「バファローブル」「バファローベル」とも共演。「(ファンの)皆さんも、キッチリ本塁を踏むか確認していたと思います」として球場の笑いを取った。

 並外れた順応力がさらなる活躍を予感させる。5月末に来日したばかりだが「食事も何も問題がない」と充実の毎日。今月5日に婚約者のデミさんとともにユニバーサル・スタジオ・ジャパンに出かけ「時間ができたら京都にも行きたいよ。電車の乗り換えは難しそうだけどね」と積極的だ。異国文化への興味も尽きない。

 交流戦単独首位に返り咲いた。「昨日(9日)は本塁打にならなかったけどチームが勝ち、今日は本塁打を打って勝った。両方うれしい」と話した新助っ人は、今後も本塁を両足で踏むかの問いに「エブリタイム!」と笑顔で即答した。 (桜井 克也)

 ▼オリックス・中島(8回に右翼線へ逆転2点二塁打)いい流れで回してもらった。どんな形でも打ったろうと思って打席に入った。(マレーロの本塁打は)打ち直しだしベンチも盛り上がった。

 ▼オリックス・吉田一(8回から3番手で登板。1回無失点で今季初勝利)後半の1点は重いので、抑えられて良かった。2イニングあれば、打線が1点は取ってくれる。

 ◆クリス・マレーロ 1988年7月2日、米フロリダ州生まれの28歳。高校卒業後、06年ドラフト1巡目でナショナルズが指名。11年にメジャーデビュー。昨季はレッドソックス傘下3Aで23本塁打。今季はジャイアンツで開幕メジャー入りして15試合に出場。メジャー通算54試合で打率・209、1本塁打、16打点。年俸は40万ドル(約4400万円)で、背番号は12。1メートル91、95キロ。右投げ右打ち。

 ≪04年ハム新庄は追い越し翌日弾≫マレーロ(オ)が来日初本塁打。自らの一打が「幻の本塁打」となった打者が翌日の試合で本塁打を打ち直したのは、04年9月21日ダイエー戦の新庄(日)以来13年ぶり5人目。ただし、新庄は前の走者を追い越して本塁打を取り消されたもの。マレーロのようにベースを空過したケースでは、58年9月20日阪神戦で長嶋(巨)が放って以来59年ぶり2人目だ。長嶋は前日(19日)の同戦で左中間席に飛び込む打球を放ちながら、一塁ベースを空過。一塁手の藤井にアピールされアウト(記録は投ゴロ)となっていた。

 ▼長嶋茂雄の本塁打取り消し翌日のアーチ 0―6とリードを許した9回、渡辺の初球を左翼席に運ぶ28号2ラン。前日(19日)に一塁を空過し本塁打を取り消されたうっぷんを晴らした。ダイヤモンドを一周する際、これでもかとばかりに各塁を踏みしめ、そのつど塁審を見返しながら、慎重なベースランニングでホームインした。

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