福留びっくり「初めて見た」 阪神 珍勝ち越し!決勝の敬遠暴投

[ 2017年5月22日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神5―4ヤクルト ( 2017年5月21日    神宮 )

<ヤ・神>7回表2死二、三塁、福留敬遠策もルーキが大暴投し、中村が捕球できず三走・高山が生還する
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 阪神は21日のヤクルト戦(神宮)に5―4で競り勝ち、今季一度もない4連敗と同一カード3連敗を回避した。7回に2点差を追いつき、なお2死二、三塁から福留の打席で予想外の敬遠暴投による幸運な決勝点をもらった。最終9回は絶体絶命の1死満塁を耐え、3連敗で脱出。日曜日7連勝を飾り、一日で貯金10へ戻した。

 絶体絶命の大ピンチだった。リードはわずか1点だけ。9回1死満塁で山田を空振り三振に退けたドリスは続く雄平に対して全球直球で挑んだ。2ストライクから投じた渾身(こんしん)の3球目だ。内角への155キロで空を切らせた瞬間、虎党の大歓声が響き渡った。

 「参った。(9回は)ミスだけどね。ミスのオンパレード。そこで去年だったら恐らく99%いかれていたと思うけど。でも、そこを、いかれなかったのが去年と違った今年のチーム力だと思う」

 疲れ切った表情の金本監督は逃げ切った勝利に目を細めた。9回は不運な内野安打、犠打失策に加えて四球も絡むなどミスが連発。記録には残らない野手の拙守もあり、勝負の流れがヤクルトに傾く中で守り抜いた。

 その“虎の子の1点”だった決勝点は思わぬ形で舞い込んできた。

 「意外な決勝点だったけど。高山の内野安打とかしぶとく食らいついて。上本にしても、まあ勝ち運があったのかなと」

 野球の神様が味方した。7回だ。1死一塁から代打の伊藤隼、高山、上本の3連打で同点に追いつき、なお2死二、三塁。福留を迎えたヤクルトは敬遠策を選択し、1ボールからのルーキの2球目が高く浮いた。球場がどよめき、打席に立つ福留も“予感”を抱いた。

 「初球がもしかしたら(バットが届く)というところに来た。それで、2球目があれでしょ。しそうな感じはあった。オレは初めて見た」

 日米通算19年目のベテランも驚いた珍事は直後の3球目に起きた。立ち上がって三塁側に大きく外れてミットを構えていた捕手の中村が跳び上がっても捕れないほどの大暴投だ。三塁走者の高山が悠々と勝ち越しの本塁を駆け抜けた。

 幸運を認めても金本監督は勝ちきった事実に手応えを深めた。「それをきっちりとモノにできたのがね。それができたのはリリーフ陣の頑張り。僕はセ・リーグ屈指やと思っている」。2点差へ広げられた5回、なお1死一塁で必勝継投の一翼を担う桑原を起用し、追加点を与えなかった。今季最も早い5回途中からの投入に執念を込め、逆転を呼んだ。今季一度もない4連敗と同一カード3連敗を回避。首位を快走する2017年の猛虎はひと味もふた味も違う。(山本 浩之)

 ▽主な敬遠暴投で得点

 ★52年・巨人 8月9日の国鉄戦(札幌円山)同点の延長13回、1死一、三塁で代打・藤本の打席。敬遠を試みた国鉄・金田の速いボールを捕手が取れず、三塁走者が生還。サヨナラ勝ちした。

 ★82年・大洋 4月3日、阪神との開幕戦(横浜)。同点の9回1死一、三塁。高木嘉を敬遠する阪神・小林の3球目が暴投。三塁走者生還でプロ野球史上2度目の敬遠暴投サヨナラ。

 ★13年・オリックス 6月9日のDeNA戦(横浜)1点を追う4回2死二、三塁、伊藤の打席。DeNA・三嶋が敬遠の3球目を暴投。同点に追いついた。

 ★16年・ヤクルト 7月18日のDeNA戦(神宮)8回、相手投手・小杉の乱調と暴投で2得点した直後の1死二、三塁。敬遠策に切り替わった山田への4球目もまた暴投。さらに1点を加えた。

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