4三振長嶋さん寸前?楽天ドラ3田中 3三振から12回V1号

[ 2017年5月21日 05:45 ]

パ・リーグ   楽天2―0 ( 2017年5月20日    ZOZOマリン )

<ロ・楽>12回2死一塁、プロ初本塁打となる勝ち越し2ランを放った田中(左)はウィーラーとポーズをとる
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 楽天・梨田監督がご満悦で冗談を飛ばす。「4打席目も2ストライクになって長嶋さんになるかと思ったけど、なれなかったね」。9番でプロ初スタメンのドラフト3位・田中は3打席目まで全て三振。デビュー戦で4三振した立大の大先輩、長嶋茂雄氏のような目に遭う寸前だった。

 「応援の音も聞こえないほどガチガチだった」という両打ちの新人が、ここからドラマを起こす。左で打った延長10回、追い込まれた後の3球目を左中間二塁打。そして0―0のまま迎えた12回だ。2死一塁、フルカウントから土肥の投じた高め直球を右打席で強振した。「プロに入って一番気持ちのいい当たりだった」。1号決勝2ランが左翼席に飛び込んだ。

 東京六大学リーグで長嶋氏より1本多い9本塁打を放ったが、キャンプでは50メートル5秒9の足を生かす走塁練習に励んだ。「大学の時は三拍子そろっていると言われたが、プロではまだまだ。一芸を磨こうと思った」。前日は9回に代走で出場し、二盗に成功。延長戦に持ち込む1点につなげた。「昨日の走塁もあって、使ってみたかった」と梨田監督に思わせた。

 10回のプロ初安打で「落ち着いた」という。思い起こしたのがフルスイングの大切さ。早大出身で神宮で戦った茂木からも「俺も最初は打てなかったが、振るのをやめたら終わり」と助言を受けていた。こん身の力で中段席まで飛ばした。

 兄・雄基さん(29)は医師。田中も幼い頃は白衣に憧れた。高校入試で第一志望の公立高には入れなかったが、偏差値70の西南学院へ。この日は、文武両道の歩みを支えてくれた母・洋子さん(58)が観客席にいた。「(ホームランボールは)親に。これからも親孝行できれば」。指揮官が「トリプルスリーをやるんじゃないか」と期待する逸材が華々しいスタートを切った。 (黒野 有仁)

 ▼楽天・美馬(9回3安打無失点)打線にはずっと援護してもらっているので、こういう時に我慢できて良かった。

 ◆田中 和基(たなか・かずき)1994年(平6)8月8日、福岡県生まれの22歳。小3の時、原少年野球部で野球を始め、西南学院3年夏は福岡大会3回戦敗退。高校通算18本塁打。立大では2年秋からベンチ入り。リーグ戦通算打率.270、9本塁打、16盗塁。1メートル80、76キロ。右投げ両打ち。

 ≪楽天新人スイッチ初≫ルーキーの田中(楽)が延長12回に決勝のプロ1号。新人の本塁打は石井一(日)、京田(中)に次ぎ今季両リーグ3人目。楽天では昨年の茂木、足立、オコエ以来11人目となり、スイッチヒッターは初めてだ。また、決勝本塁打は07年嶋(1本)、昨年茂木(2本)に次ぎ3人目。延長本塁打は田中が初となっており、楽天新人初の延長決勝弾になった。

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