ヤクルト荒木「体が震えるというか…」プロ入り初満弾が人生初サヨナラ打

[ 2017年5月15日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト5―1中日 ( 2017年5月14日    松山 )

<ヤ・中>9回2死、サヨナラ満塁本塁打を放った荒木(左から2人目)を迎えるヤクルトナイン
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 打った瞬間、右手を突き上げた。1―1の9回2死満塁。ヤクルトの荒木は延長戦に入る寸前で歓喜をもたらした。

 「手応えはあったが、まさか入るとは…。体が震えるというか、喜びが湧き上がってくる」。試合後も興奮が収まらない。人生初のサヨナラ打を、プロ入り初の満塁弾で派手に飾ってみせた。

 8回の一塁守備から出場。主に代打や途中出場が多く「心の準備はしていた」という。9回、大野の制球は定まらず、3四球で塁が埋まる。荒木も2球、ボールが続いた。四球待ちでもおかしくない状況だったが「積極的にいこうと。空振りでもいいと割り切った」と甘く入った直球を強振し、左翼席に叩き込んだ。

 4月2日のDeNA戦(神宮)でも鵜久森がサヨナラ満塁本塁打を放っており、シーズン2度のサヨナラ満塁弾はセ・リーグ史上初の快挙。くしくも荒木は鵜久森に代わって途中出場していた。真中監督は「2ボールで消極的になりそうな場面で、しっかり(狙い球を)絞って勇気を持ってやってくれた」と称えた。

 試合を行った坊っちゃんスタジアムのある愛媛県松山市は、1年目のオフから毎年自主トレを行っている場所。松山入りした12日には、いつも立ち寄る権現温泉に入り、英気を養った。縁深い地でヒーローとなり「お世話になっている皆さんの前で恩返しというか、いいところを見せられて良かった」と声を弾ませた。

 プロ8年目で7月に30歳を迎える。母の日で、母・裕樹江さん(58)にはLINEで「少しでも元気で長生きしてください」とメッセージを送った。振り返れば、父の日だった14年6月15日の日本ハム戦(札幌ドーム)でも9回に決勝三塁打。孝行息子はまた輝きを放った。 (原田 真奈子)

 ◆荒木 貴裕(あらき・たかひろ)1987年(昭62)7月26日、富山県生まれの29歳。帝京三から近大へ進み、4年時には日米大学選手権で主将。09年ドラフト3位でヤクルト入団。10年の開幕戦で、球団では40年ぶりの新人野手のスタメン出場。13年にはイースタン・リーグで首位打者を獲得した。1メートル80、84キロ。右投げ右打ち。

 ≪史上3球団目の最多タイ記録≫荒木(ヤ)が満塁サヨナラ弾。満塁、サヨナラ本塁打ともに自身初。チームの満塁サヨナラ本塁打は(☆は代打)、

年  打者名  月 日 対

68 ジャクソン9・16神

82☆岩下 正明4・6 広

01 稲葉 篤紀5・31巨

13 畠山 和洋5・17ロ

17☆鵜久森淳志4・2 D

〃 荒木 貴裕5・14 中

と6本目。シーズン2本は84年近鉄、88年阪急に並ぶ史上3球団目の最多タイ記録で、セでは初めてだ。また、今回は代打の鵜久森と途中出場の荒木がマーク。過去2球団はいずれも先発出場選手と代打の組み合わせとなっており、途中出場選手で2本そろえたのはヤクルトが初。

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