近大 8季ぶり45度目V!田中監督の気概 早実・清宮に入学パンフ

[ 2017年5月15日 05:30 ]

関西学生野球連盟 第7節2回戦   近大6―0京大 ( 2017年5月14日    甲子園 )

<関西学生リーグ 近大・京大>8季ぶり45回目のリーグ優勝を果たし胴上げされる近大・田中監督(上)
Photo By スポニチ

 鮮やかな復活Vだ。開幕節の立命大3回戦から破竹の9連勝でたどり着いた頂点。部員の手で5度宙に舞った近大・田中秀昌監督(60)は穏やかな笑みを浮かべていた。上宮、東大阪大柏原の監督を経て14年春に就任。上宮を率いて93年選抜で優勝した甲子園で再び胴上げされることに数奇な運命も感じていた。

 「甲子園球場で胴上げなんて、最高に気持ちいいですね。主将の小深田に投手の岡田、学生コーチを中心に4年生がよく頑張ってくれたし、一致団結してくれました」

 部員の不祥事で13年秋のリーグ戦出場を辞退した西の名門。立て直しを託された指揮官は、就任初年度に入学してきた現4年生を真っ先に称えた。聖地では実に24年ぶりの胴上げだった。何度も「固辞した」という監督就任。「有藤通世OB会長や前任監督も背中を押してくれた。覚悟を決めてやってきました。でも、まだまだ。常勝軍団にしないと」と周囲への感謝も忘れなかった。

 熱心な指導と同様、選手勧誘も情熱的だ。北は栃木、南は沖縄まで時間が許す限り足を運んできた。ことしの九州大会はもちろん、大阪大会も頻繁に視察している。「いっぱい断られましたよ。近大野球部に人気がないのか、監督に人気がないのか…」。実は、早実の清宮にも速攻でアタックを仕掛けたことがある。15年の8月22日、生駒市内の近大グラウンドであった高校日本代表合宿初日のことだ。当時1年生だった清宮に近大の入学案内パンフレットを手渡したのだ。「清宮君にも声をかけましたよ」と屈託なく笑った。

 清宮が来春、近大に入学する可能性はほとんどないだろう。ただ、欲しいと思った選手に声をかけなければ、何も始まらないことも事実だ。今春、1年生ながら中軸を任された佐藤輝明外野手(仁川学院)も高校時代に熱心な勧誘を受けた一人だ。「選手のことをしっかり考えて話をしてくださる監督さんです」と指揮官に感謝の言葉を並べた。ほぼ無名に近かった佐藤が中軸として機能したことを考えれば、その眼力も確かだ。

 8季ぶり45度目の優勝(旧リーグ含む)。次なる目標は大学選手権だ。1回戦の相手は今秋ドラフト候補に挙がる152キロ右腕・近藤擁する岡山商科大に決まった。関西学生野球連盟の優勝は98年の近大が最後。近年は低迷が続く。指揮官は「まずは初戦突破。関東に行っても“関西ここにあり”を示したい」と言葉に力を込めた。(吉仲 博幸)

続きを表示

2017年5月15日のニュース