9点差逆転に金本監督大興奮「まさか…逆転するとは…」

[ 2017年5月7日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神12―9広島 ( 2017年5月6日    甲子園 )

<神・広>7回裏2死一、二塁、梅野の勝ち越し打で生還した糸原(右)をハイタッチで迎える阪神ベンチ。ファンも大騒ぎ
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 85年バックスクリーン3連発級の衝撃や! 阪神は6日、広島戦(甲子園)で球史に残るミラクルを起こした。5回表を終え0―9と防戦一方だったが、8点を追う6回に打者一巡11人の猛攻で一挙7得点。1点差に迫った7回には糸原の同点打、続く梅野の勝ち越し打で逆転した。今季最多タイの4連勝で、昨年4月8日以来393日ぶりとなる単独首位に浮上。9点差の逆転は球団史上初という歴史的1勝で、金本阪神がさらに勢いを増す。

 球史に残る大逆転劇だった。球団史上初となる9点差をひっくり返しての逆転勝利。4時間19分に及んだ激闘を執念の采配で制した金本監督は珍しく興奮していた。

 「本当に疲れました。まさか…。逆転するとは…。もちろん(驚いた)。9点差をひっくり返したというのは、僕も長い間プロ野球にいますけど、僕も初めてです」

 かれた声で発した言葉がすべてを象徴していた。ローテーションの谷間としてドラフト6位ルーキーの福永を先発に抜てき。一方で相手先発は、3勝を挙げていた好調の岡田だった。劣勢の展開を予想していたとはいえ、期待の新人右腕は4回6失点で降板。2番手の松田も3点を失った。5回表を終え、0―9。虎党の誰もが、敗戦を覚悟したに違いない。

 「お客さんに、申し訳ない気持ちでいっぱいで。最初はお客さんのためにも“少しでも沸かせてやれ”という気持ちだったんですが、まさか…」

 点差もさることながら、内容も散々だった。6回表の時点で3失策。記録に残らない失策を加えると、数多くのミスがあった。だが、勝負は最後まで分からない。いや、ナインの誰もが、あきらめてはいなかった。金本監督が勝敗の分岐点に挙げたのは、4点を返してなおも6回2死満塁から飛び出した、高山の走者一掃となる右翼線3点三塁打だった。

 「ここで打てば勝機が見えてくるところでね。食らいつくように打ってくれた。そういう集中力というか、土壇場の球際の強さを見せてくれた。“これはいける”と」

 千金の一打に、指揮官は勝利を確信したという。だからこそ、想定外の“まさか”にも動じなかった。1点を追う7回1死一、二塁。鳥谷のゴロを二塁手・西川がファンブル(記録は失策)した。その間に二塁走者の江越が本塁に突入。球審・真鍋は一度はセーフの判定を下した。だが、約18分間に及ぶリプレー検証の末に判定は覆りアウト…。ベンチ全体が意気消沈となりかねないケースで、糸原が同点打、梅野が勝ち越し打を連ねた。

 「“これで止まったのかな”という感じがあったけど、その流れによく逆らってくれたというかね。糸原、梅野がよく打ってくれた」

 逆境をはねのけてつかんだミラクル逆転劇。今季初、昨年4月8日以来393日ぶりとなる単独首位は、猛虎にとってこれ以上ない筋書きとなった。それでも金本監督に油断はない。「慢心することなく、おごることなくやっていきたい」。今年は違う。底知れぬ脅威を強敵・広島に見せつけた。(山本 浩之)

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2017年5月7日のニュース