梅野が大逆転ヒーロー!チビ虎たちの願い叶えた0―4から

[ 2017年5月6日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8―5広島 ( 2017年5月5日    甲子園 )

<神・広>お立ち台で孫悟空とかめはめ波のポーズをする梅野
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 阪神は5日、今季最多観衆を集めた広島戦(甲子園)で今季最大となる4点差をはね返す逆転勝利で3連勝を飾った。

 「ヒーロー」の梅野はは三塁ベース上で、両手を強く叩いた。こんな日を待っていた。苦難の日々がすべて報われた瞬間だった。

 「状態は悪くなかったし積極的にいこうと。初球から振れたことが(結果に)つながった」

 1点を追う7回1死二、三塁、初球をファウルしたことで緊張がほぐれた。ボール2球の後、一岡のフォークを捉えた打球は左中間を破る逆転の2点三塁打。「(初球から振られるのは)捕手からしても嫌。内容のある、濃い1本」と、捕手目線を存分に生かした会心の一撃だった。

 昨春の宜野座キャンプ中、実戦どころか打撃練習でも精彩を欠く姿を見かねた金本監督に呼び出され「お前、ちゃんとオフに練習やってきたんか?あれで“やった”と言うなら、お前はそこまでの選手ということやな」と叱責された。シーズンでもプロ入り最少の37試合出場で打率・135、0本塁打、4打点。「強打の捕手」と期待された面影はなく2軍でもがく間に、同い歳の原口が1軍で輝きを放った。

 「ぐっち(原口)が努力してきたことは自分も知っているし、だからこそ、このままだと本当に終わると。来年(17年)は、最後の一年という気持ちだった」

 昨季終了後に向かったのは故郷・福岡のとある場所だった。中学時代、練習後に仲間数人とガードレールに囲われた道路脇のスペースを使って何百回とスイングを繰り返した即席の「素振り場」。深夜、1人バットを持ち、慣れ親しんだ“打席”でフルスイングした。「もう一度、原点に戻るというか、自分の持ち味は打撃なんで素振り場に行って再確認できました」。

 昨オフは個人トレーナー指導のもと、マンションの一室にこもりウエートトレーニングや素振りを繰り返した。一振りに魂を込め続けた成果が最高の結果を生み、金本監督も「最低でも外野フライと思ったところで、外野を抜いてくれた」と目を細めた。

 「こどもの日」に甲子園には多くのチビっ子を含め今季最多4万6593人の観衆が詰めかけた。「試合前から空きがなくてすごいと思っていた。ミーティングでも片岡コーチが“子どもたちを喜ばせる試合をしよう”と言っていた。大変な試合でしたけど、喜ばせることができたと思う」と今季初の本拠地お立ち台に声を弾ませた。

 「将来、憧れのヒーローのところに『梅野』と書かれるように」

 幼い頃の自身のヒーローは、ソフトバンク時代の城島健司氏。憧れ続ける「強打の捕手」が重なったこの日の躍動に、心をわしづかみにされた子どもたちは少なくないはずだ。(遠藤 礼)

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2017年5月6日のニュース