菅野「投げきります」135球 憧れの大投手から受け継いだ完投の美学

[ 2017年5月3日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5―0DeNA ( 2017年5月2日    東京ドーム )

<巨・D>3連続完封の菅野(左)は小林と抱き合って喜ぶ
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 大投手への階段を上がった。巨人・菅野智之投手(27)が2日のDeNA戦で3試合連続完封勝利を成し遂げた。セ・リーグでは球団の先輩、斎藤雅樹(現巨人2軍監督)が89年に達成して以来28年ぶりの快挙。5安打9奪三振、無四球で135球を投げ抜いた。リーグトップタイ、無傷の4勝目。チームの連敗を2で止めた。

 偉業まであと2人――。打席にはWBCをともに戦い「日本一の打者」と認める筒香がいた。初球、149キロの直球が高めに外れた。スライダーを2球続けて追い込むと、感情が交錯する。「ホームランは打たれたくないし、かといって逃げたくもない」。結論は信念に従った。前日に公言した「真っ向勝負」。外角に150キロ直球を投げ込み、中飛に仕留めた。

 続くロペスは二ゴロ。5回無死から15者連続アウトというフィニッシュで、3試合続けて9回を「0」に封じた。ド派手なガッツポーズ。小林と抱き合って喜びを爆発させた。「最高に気持ちいいです!やりました!」。お立ち台でも満面の笑みで声を張り上げた。

 同じ東京ドームのDeNA戦で、同じ記録に挑んだ昨年4月22日。7回無失点ながら、右手中指のマメがつぶれて無念の降板をした。あの時、肌で感じた記録の重み。もうマウンドは譲らない。8回を終えて127球。尾花投手コーチから「どうする?」と問われると、迷うことなく「いきます。投げきります。最後まで」と即答した。

 憧れの大エースに肩を並べた。28年前に3試合連続完封を達成した斎藤2軍監督は、菅野の入団時の1軍投手コーチだ。

 「コーチとしていろいろなことを教えてもらった。最後まで投げきることをとても大事にされていた。自分にも意識して言ってくださっていた。それがようやく形になった」

 通算113完投を誇る伝説の右腕から学んだ「完投の美学」は、菅野のハートに根を張っている。9回を投げきるために大胆な攻めも見せた。3球三振が2度。筒香とも4打席で計12球と球数をかけず勝負した。追い込んでからボール球を挟む主流のスタイルとは違う世界に住んでいる。

 4月18日のヤクルト戦(熊本)からスコアボードに27個の「0」を並べた達成感は想像以上のものだった。「3試合連続で0で最後までマウンドに立てた。改めて凄いことをしたんだな」。135球の熱投を振り返りながら、常に自分に厳しい男が珍しく自らを褒めた。

 ただ、これで満足しないのが「日本のエース」だ。巨人では、1965年に城之内邦雄が4試合連続完封、43年には藤本英雄がプロ野球記録となる6試合連続完封を達成している。「何回もできるように頑張りたい」。日本の野球史に名を刻む挑戦はまだ終わっていない。 (重光 晋太郎)

 ≪43年藤本英雄は6連続≫菅野(巨)が4月18日ヤクルト戦から3試合連続完封勝利。3戦連続は11年ダルビッシュ(日)がマークしているが、セでは89年斎藤雅樹以来28年ぶりになる。連続完封勝利のプロ野球記録は1リーグ時代の43年藤本英雄(巨)の6試合。4試合連続完封は65年城之内邦雄(巨)が最後で、菅野は次回登板で52年ぶりの記録に挑戦する。また、前記ヤクルト戦の1回から27イニング連続無失点。菅野は昨年3〜4月に自己最長の30イニング連続無失点をマーク。2リーグ制後、巨人の投手が2年連続で30イニング以上連続無失点を記録すると初となるが菅野はどうか。

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