ソフトB甲斐 育成ドラフト出身初の満塁弾 しかも1号「素直にうれしい」

[ 2017年5月3日 05:41 ]

パ・リーグ   ソフトバンク14―4西武 ( 2017年5月2日    ヤフオクドーム )

<ソ・西>2回2死満塁、グランドスラムを放った甲斐(手前)は中村晃、内川、松田を引き連れ笑顔でナインとタッチ
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 歴史にも名を残す値千金のプロ初本塁打だった。ソフトバンクの甲斐が2点を追う2回2死満塁から逆転の一発を、ヤフオクドームの左翼ホームランテラスに運んだ。育成ドラフト出身者の満塁弾は史上初。それもプロ1号だ。7年目で初めてお立ち台に上がり「素直にうれしい。初回に先制点を取られたのは(捕手の)僕の責任でもある。バットで取り返せて良かった」と喜んだ。

 初回に同期で同じ育成出身の千賀が中村に先制2ランを被弾。2回の絶好機、9番打者はバットを拳1本分も短く持ち、キャンデラリオの内角高めの直球を腕を畳んで振り抜いた。1メートル70と小柄だが、高校通算40本塁打を誇るパンチ力を持つ。座右の銘は「人はヒト」で帽子のひさしの裏に書いている。他人にどう思われようが、自分のやるべきことをやる。打席では右足はバッターボックスの白線を踏み、ベースにかぶさるように構える。 「死球でも出られれば1番につながる。僕みたいな打者に死球はもったいないでしょ」

 “捨て身の打法”で2安打し、3回にはプロ盗塁も記録した。

 楊志館(大分)から育成ドラフト6位で2010年に入団。この年の最下位指名で、1位は同じ捕手の斐紹、2位は柳田、育成4位には千賀がいた。ここからはい上がる。強肩を武器に13年に支配下選手に。今季は名捕手だった達川ヘッドコーチの指導を受けて開幕1軍入りし、千賀と「育成出身バッテリー」を組んでいる。この日リードした2番手・石川、3番手・飯田も育成出身という奇妙な縁も重なった。

 甲斐の一振りが打線に火を付け、今季最多の17安打で14点を奪って大勝。4月11日以来の3位に浮上した。工藤監督を「びっくりしたよ。みんな、びっくりしていた」と驚かせた逆転満塁弾。殊勲の24歳はプロ1号の記念球、千賀からも感謝のウイニングボールを渡され、最高の笑顔を見せた。

 ▼ソフトバンク・王貞治球団会長 凄い爆発だね。なんといっても(甲斐)拓也の満弾が一番。本人がビックリじゃないかな。貴重な拓也のホームランだった。

 ▼ソフトバンク・川崎(11年11月20日の日本シリーズ以来となるヤフオクドームでの試合で1安打)拓也の満弾、感動した!(5月2日で背番号)52の僕の日に若い選手が先輩をもり立ててくれた。

 ▼ソフトバンク・千賀(6回2失点で4勝目)拓也さまさま。リードも一生懸命だし、バッティングも頑張っているので応えたい思いがあった。

 ◆甲斐拓也(かい・たくや)1992年(平4)11月5日、大分県生まれの24歳。中学時代は内野手で、楊志館で捕手に転向。甲子園出場はなし。10年育成ドラフト6位で入団し、13年11月に支配下登録された。14年6日7日の広島戦(マツダ)でプロ初出場し、昨年6月16日のヤクルト戦(神宮)で適時二塁打を放ち、プロ初安打初打点。昨季までの登録名は「拓也」。1メートル70、75キロ。右投げ右打ち。

 ≪育成ドラフト出身者の満塁弾は史上初≫甲斐(ソ)が西武戦の2回にキャンデラリオから満塁本塁打。プロ1号が満塁弾は15年8月25日ロッテ戦の上林(ソ)が記録して以来パ・リーグ19人目で、チームでは吉田、安田、井口、上林に次ぎ5人目(外国人選手は除く)。育成ドラフト出身者の満塁弾は史上初となった。

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