0―7から大逆襲!鯉打線猛追あと一打に緒方監督「すごい執念」

[ 2017年5月1日 05:51 ]

セ・リーグ   DeNA10―9広島 ( 2017年4月30日    横浜 )

<D・広>9回無死一塁、左越え2ランを放つ鈴木
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 広島・鈴木誠也外野手(22)のエンジンがかかってきた。4月30日のDeNA戦(横浜)に4番・右翼で先発出場し、4点を追う9回に2試合連続の5号2ラン。敵地に詰めかけた赤ヘル党の喝采を浴びた。試合は、0―7の一方的な展開から今季最多16安打を放って1点差にまで詰め寄ったが、あと一歩届かず。チームは14年以来3年ぶりの4月首位ターンとなった。

 応援のボルテージは最大級だった。4点差で迎えた9回、先頭・丸が右前打で出塁し、打席には鈴木。何しろ、前日29日に2本塁打した男だ。逆転を信じるファンは2戦連発を念じて声を発した。赤ヘルの新4番打者は動じない。自分の役割だけに集中していた。

 「負けていたけど、あきらめずにいこう…と、皆で話し合っていた。とにかく、後ろにつなぐ意識。結果的に本塁打になってよかったです」

 パットンが1ボールから投じた2球目。143キロの内角直球を鋭く振り抜くと、白球は熱狂する左翼席中段に突き刺さった。リーグトップタイとなる2試合連続の5号2ラン。「本塁打は内野ゴロの延長。シンに当たれば打球は勝手に飛ぶ。狙う必要はないな…と」。打席での意識を体現してみせる一打だった。

 2点を返して反撃に転じた5回、2死三塁の好機に左前タイムリー。この日は3安打3打点と活躍し、DeNA3連戦は13打数7安打6打点、3本塁打の大暴れだ。伏線はあった。大竹寛の内角球を左翼線二塁打し、外角球を見極めて四球を選んだ26日の巨人戦(マツダ)。迷いが消えた。

 「それまではずっと探っていた。内に来るか、外なのか。投球後に判別するんじゃなく、投げた瞬間に打ちに行って見極めないといけない。あの試合はできました」

 打率・335、29本塁打の実績を引っさげて臨む今季。厳しい内角攻めを予想する声があり、無意識のうちに受け身になっていた。直前25日までは3試合無安打。「ずっとヒットを打っていなかったんですね。全然知らなかった」。結果にとらわれず、自分の感覚だけに集中していた証拠。強打者のゆえんだ。

 鈴木の2ランで2点差に迫った9回、なおも2死満塁から田中が押し出し四球を選び1点差。最後は代打・堂林が空振り三振に倒れたが、敗れてなお強し…の印象を植え付けたのは間違いない。緒方監督も「最後はすごい執念を見せてくれた」とナインを称えた。

 「いい方向に向かっていると思います」

 風薫る5月。エンジンがかかってきた新4番打者の猛打が楽しみだ。(江尾 卓也)

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2017年5月1日のニュース