得点圏打率0割台男の逆襲 阪神・北條が恩返しのV撃

[ 2017年5月1日 05:31 ]

セ・リーグ   阪神3―2中日 ( 2017年4月30日    甲子園 )

<神・中>8回裏2死満塁、北條は勝ち越しとなる右前適時打を放ち、一塁に向かいながらガッツポーズ
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 阪神・北條史也内野手(22)が4月30日、中日戦(甲子園)の8回2死満塁から決勝の右前適時打を放った。開幕から不振にあえぐ若虎の一打で、カード勝ち越しを決めた。首位・広島が敗れたため、ゲーム差1の2位で4月戦線を終了。あす5月2日からのヤクルト、広島6連戦を、「奪首ウイーク」とする。

 意地と執念で弾き返した。接戦に終止符を打ったのは北條だ。2―2の8回2死満塁。祖父江に2球で追い込まれても、焦らず、力まず、バットを出した。コンパクトに捉えた打球は右前に弾み、三走・上本を決勝のホームに迎え入れた。

 「当たってもいいぐらいに踏み込んでいこうと思っていた。それでも2球とも合っていなかったので、意識が足りない、と。なんとか食らいつこうと思っていました」

 先発のジョーダンにはタイミングが合っておらず、空振り三振と右邪飛。7回、祖父江との1度目の対戦も遊ゴロだった。殊勲の打席に向かう前、不安を抱えながら次打者席にいた。そこで背中を押してくれたのは、片岡打撃コーチだった。

 「内角はないから、踏み込んでいけ。おいしいとこやねんから思い切っていけ!」

 試合開始前まで打率は・212。開幕からなかなか調子は上がらず、代打も考えられる場面だった。それでも、任せてくれた首脳陣の期待を裏切るわけにはいかない。「全然打ててなかったし、今日も良い形を出せてなかった。でも片岡コーチに声をかけてもらって、変わりました」。腹をくくってバットを振った。

 1月にあったヤクルト・山田らとの合同自主トレ。鍛錬の場では、追い込まれてから意識を変化させることの重要性を再認識させられた。

 「技術的なことも精神的なことも色々話してもらいました。でも、『粘ることが一番大事』って(山田)哲人さんに言われたんです。それが打率とかにつながるって。あれだけ結果を残されるバッターがそこまで言うっとことは、本当に大事なことなんだ、って」

 調子が悪いときも、山田の教えを大事にした。欲張らずに、コンパクトに。新たな指針が、ぶれることは一度もなかった。その意識が、昨年9月22日の広島戦以来となる決勝打につながった。

 「今日打てたことはよかったですけど、まだまだ(打)率は残っていない。やりたいことを試合で出せれば、率は上がってくると思うので、しっかりやりたい」

 試合後には気を引き締めるように言った。前日まで得点圏では17打数1安打の打率・059と苦しんだが、虎視眈々と逆襲の機会をうかがってきた。首位・広島を1差で追うところから始まる5月戦線。本領発揮はここからだ。(巻木 周平)

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2017年5月1日のニュース