誠也 “正真正銘”4番で今季初2発 新井と先発共存では初めての打順

[ 2017年4月30日 05:30 ]

セ・リーグ   広島6―1DeNA ( 2017年4月29日    横浜 )

<D・広>8回無死一塁、鈴木はこの日2本目となる左越え2ランを放つ
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 神ってません、実力です――。広島の鈴木誠也外野手(22)が29日、DeNA戦で今季初の1試合2本塁打を放ち、勝利に貢献した。新井貴浩内野手(40)とともにスタメン出場した試合では今季初めての4番起用。4回に4番として初アーチとなる3号ソロを放つと、8回にもダメ押しの4号2ランを放った。成長著しい22歳の4番が存在感を見せつけ、首位を堅守した。

 これまでの「4番」とは重みが違う。鈴木自身が誰よりも分かっていた。この日の積極的な打撃がそれを物語る。今季初めての1試合2本塁打。「ここ最近は消極的だったので、どんどん振っていこうと思って、自分のスイングができた」と納得の口ぶりだった。

 ここまで4番に座った8試合は、いずれも新井が先発を外れていた。この日は新井が6番で出場し、正真正銘の4番打者として臨んだ初めての一戦。そして4番として記念すべき初アーチ。「(打順は)全然気にしていない」と振り返ったが、見事に起用に応えた。

 まずは2―0の4回、今永の初球を強振する。「思い切っていったのがいい結果になった」とうなずくように、左中間席の最上段へ完璧な3号ソロ。負けじと、6番の新井も7回に中堅のスコアボードにぶち当てる特大の4号ソロだ。前回対戦した19日に1安打完封を許した駒大の後輩を打ち崩し「前回やられていたので今回こそは…と思っていた」と胸を張る。鈴木は8回にも2番手・平田から左中間席に叩き込むダメ押しの4号2ラン。「いい感じで振れたので、続けていけたらいい」と手応え十分だった。

 昨季は打率・335、29本塁打、95打点で25年ぶりのリーグ優勝に貢献。その神懸かり的な活躍を表現した「神ってる」が流行語大賞にも選ばれた。ただ、鈴木本人は複雑な思いもあった。「神ってると言われるのは“まぐれ”と言われているようで少し嫌だった」と振り返る。迎えたプロ5年目の今季。「神ってるではなく、“実力だ”と思われるように頑張りたい」と誓い、3月のWBCで日の丸も背負った。

 「チームの顔」とも言える存在が担う4番。実力を証明するためには、これ以上ない打順だ。緒方監督も開幕前から「新井を抜くつもりで、その座をつかんでほしい」と構想を描いていた。今後も鈴木と新井の調子や相手先発との相性を見極めた上で、4番を決める方針に変わりはないが「4番に入った男が2本。こういう存在感を見せてくれたら、これからも(4番を打つ)可能性が高くなってくる」と評価した。22歳の若武者には、チームの象徴的存在になる技量が秘められている。

 ☆前回の広島打線VS今永 19日に敵地で対戦し、9回を打者31人で安打は初回の菊池の中前打のみ。0―4で今季初の零敗を喫した。7回1死一、二塁では小窪の遊ゴロが微妙なタイミングでアウト。6回の田中の遊ゴロでも同様の判定があり、猛抗議した緒方監督が審判への暴言で現役時代を通じて初の退場処分となった。試合後、指揮官は無言のまま球場を立ち去った。

 ≪22歳以下は前田以来≫鈴木(広)が先発4番では初となる3号を4回に放つと、8回には4号。マルチ本塁打は昨年9月10日の巨人戦に次ぎ自身4度目。また、鈴木は現在22歳。広島の22歳以下の4番打者による本塁打は、94年前田智徳が22歳で1本打って以来。右打者では91〜93年江藤智が22歳以下で7本塁打して以来24年ぶりだ。なお、この日は新井も7回に本塁打。2人のアベック弾は昨年9月24日のヤクルト戦以来7度目で、無傷の7連勝。

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