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東京六大学野球のネット中継と日本版NCAA構想

<立大・明大>東京六大学野球・2016秋季リーグ戦、春秋連覇を達成し喜びを爆発させる明大ナイン。明大は2季連続39度目の優勝
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 【君島圭介のスポーツと人間】東京六大学野球の全試合を無料ライブ配信するサービス「BIG6.TV」が注目されている。同リーグは今年も広島に加藤(慶大)、中日に柳(明大)ら8人の新人を日本野球機構(NPB)に送りこんだ。1925年のリーグ創設はそのNPBより古い。

 インターネットスポーツメディア「SPORTS BULL」を運営する運動通信社とスポーツマーケティングラボラトリー社(SPOLABo)の共同事業として立ち上げられたが、興味深いのはチームのニュースや選手の最新情報が東京六大学の各学生新聞の記者によって提供されている点だ。それどころか、試合中継そのものに現役の学生がかかわっている。

 早大スポーツ科学部の早川春菜は、SPOLABoで中継スタッフを務めている。「大学スポーツのネット中継という発想はなかった。学生目線でも新しい」。早川はイベントマネジメントを学ぶため、米アイオワ州立大に留学。ビジネスモデルが確立している本場の大学スポーツの現場から多くを学んできた。

 早川は「大学スポーツは面白いだけではダメなのではないか」と疑問を持つ。東京六大学野球の競技レベルは高いが、単なるNPBへの登竜門で終わるのはもったいない。「BIG6.TV」の中継では選手の出身高校にもこだわり、高校野球ファンも視聴者に取り込む。年代別で何重の層が生まれる球界の構造のつなぎ役にもなろうとしている。

 今、大学スポーツ周辺が慌ただしい。発端は安倍政権が昨夏に打ち出した成長戦略「日本再興戦略2016」で、スポーツを新たな有望成長市場に位置付けるとともに市場規模を推計5・5兆円(推定)から、10年後に15兆円にする数値目標を掲げたことだ。その柱の一つに挙げたのが大学スポーツだった。いわゆる「日本版NCAA構想」だ。1906年に設立され、現在約1200校が加盟する全米大学体育協会(NCAA)は競技会の開催や試合のテレビ放映権の管理などを行い、毎年1000億円以上の収益を上げているという。例えば早川が留学したアイオワ州立大が所有するアメフットスタジムは4万5814人収容だが、試合開催時はほぼ満席になる。在籍学生だけでなく、アメフットチームが地域コミュニティーの中心にもなっており、莫大な経済効果も生み出している。

 NCAAは学生の本分である学業も重視しており、練習時間に上限を設けたり、学業成績の条件に満たなければ大学に厳罰を科している。ビジネスだけではなく、優秀なアスリートと優秀な人材の育成も進めてきた。東京六大学野球は大学スポーツ界の先陣を切って日本版NCAAのモデルケースとなるか。

 競技者だけではない。「プロスポーツとは異なる大学スポーツの意味を、そこに関わる全ての人たちが考えていくべきなのではないか」という早川のような学生が、これから日本の有望成長市場であるスポーツビジネスを開拓していくのだ。 (敬称略、専門委員)

 ◆君島 圭介(きみしま・けいすけ)1968年6月29日、福島県生まれ。東京五輪男子マラソン銅メダリストの円谷幸吉は高校の大先輩。学生時代からスポーツ紙で原稿運びのアルバイトを始め、スポーツ報道との関わりは四半世紀を超える。現在はプロ野球遊軍記者。サッカー、ボクシング、マリンスポーツなど広い取材経験が宝。

[ 2017年4月27日 09:00 ]

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