【石井一久クロスファイア】「広島スカウトの眼力」33万円で買える時代!?

[ 2017年4月26日 09:50 ]

広島の岡田
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 ひと昔前まで、「広島が好調なのは、鯉のぼりをしまう時期まで」とも言われたが、昨年はぶっちぎりのリーグ優勝。今年も首位を走っており、そんな「広島あるある」はもう当てはまらない。ここまでで注目すべきは、近年のドラフト上位で指名した投手が、勝ち星を挙げていることだ。

 チーム13勝中(24日時点)、過去4年のドラフト3位以内で入団した投手で半分以上の7勝を稼いでいる。九里(13年2位)と岡田(15年1位)が各2勝、薮田(14年2位)、加藤(16年1位)、床田(16年3位)が各1勝。全員が大学卒の即戦力で、まだ勝ち星こそついていないが、大瀬良(13年1位)も好投している。僕がいた90年代のヤクルトもそうだったが、毎年、上位指名の投手が高確率で「当たる」と、チームは常勝軍団への土台ができる。

 前述の投手に共通するのは、直球の質がいいこと。回転数が多く、打者の手元でもお辞儀しない真っすぐを投げる。薮田は大学時代、ほとんど公式戦で投げていない投手。ケガをしてしまったが、3位で獲得したルーキー左腕の床田はドラフト1位級の能力がある。これは広島スカウト陣の眼力の高さで、球速よりも、直球の質が高いことを基準に指名しているのではないかと想像する。

 実際、米国では、アマチュア選手をスカウトする際にも、球の回転数を計測し、判断材料にしている球団もある。メジャーの試合では「スタットキャスト」で細かな数値が瞬時にはじき出されるが、アマチュアの現場にも進出。球の回転数を測る簡易型分析機は3000ドル(約33万円)ぐらいで購入できると聞く。

 打者の場合、プロですぐに活躍できるかどうかの判断は難しく、専門家の目に委ねることになるが、投手というのは打者よりも能力をデータ化できるポジションだ。米国のようなスカウティングが進めば、控え投手でも球の質は一流という「掘り出し物」が見つかるかもしれない。日本もアマチュアの現場でも、データ重視の時代が近いうちに来るのではないか。

 ちなみに、僕のコラムは感性で書いているので、くれぐれもデータを持ち出して評価しないでください…。 (スポニチ本紙評論家)

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2017年4月26日のニュース