【斎藤隆MLBリポート】日本アマ選手にも向けられる人材発掘の目

[ 2017年4月20日 15:16 ]

3月にアリゾナに全スカウトを集めて行われたパドレスのスカウトミーティング
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 今年からパドレスの球団アドバイザーに就任した斎藤隆氏(47)が、昨年、スポニチ本紙に掲載したコラム「サミー・リポート」をリニューアル。1年間のインターンを経て、正式にフロント入りし、今年は環太平洋地区のスカウティングも担当します。MLBの最前線を月1回(第3木曜日掲載)リポートします。

 MLBは今まさに、時代の転換期にあります。打球速度や球の回転数などが瞬時に分かる解析システム「スタットキャスト」の登場により、野球の見方や選手の評価が変わり、フィールドに目を移せば、ビデオ判定の導入に続き、今年からは試合時間短縮を目的に敬遠は宣告するだけでOKに。MLBは年間1兆円の収益を生み出す巨大ビジネスですが、時代の流れの中では、ルールさえも変えてしまう。この柔軟性がMLBの発展を支えていると思います。

 私は今年から正式に球団フロントの一員となり、日本と米国を行ったり来たりしながら、アジア地域のスカウティングも担当します。アマチュア選手のスカウティングに関しても、ここ数年でグローバル化が加速しました。新たなトレンドとなっているのが、キューバ。パドレスは昨年7月、エイドリアン・モレイホンという17歳の投手と契約金1100万ドル(約12億円)でサインしました。150キロ台中盤の速球を投げる左腕で、3月にマイナーのキャンプで見ましたが、確かに潜在能力の高さは感じました。

 昨年12月に合意した新労使協定ではインターナショナルの選手獲得に関するルールがより厳しくなりましたが、その背景にあったのが、青田買いの過熱による契約金の高騰。メジャーではFA移籍や大型トレードに注目が集まりますが、今の時代は、ドミニカ共和国やベネズエラだけでなく、新たな市場からいかにして若い人材を獲得できるかの競争になっています。パドレスはこの1年間で、キューバ選手を3人獲得しました。年齢は17歳、18歳、20歳。エリアスカウトからの報告を受けた球団幹部が複数の目でチェックし、A・J・プレラーGMも自らキューバに足を運びました。

 私も日本にいる間は、有望なアマチュア選手がいれば、定期的にリポートを米国に送ります。日本は国内のドラフトもあり、キューバとは事情が異なりますが、今は報告一つでGMがすぐに飛んでくる時代。MLB球団の目は日本のアマチュア選手にも向けられていることは断言できます。 (パドレス球団アドバイザー)

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