【キヨシスタイル】ノースロー敬遠 20年近くないドラマより時間短縮を

[ 2017年4月18日 08:10 ]

 大リーグが今季から故意四球ルールを導入している。敬遠するって意思表示をすれば、ボールを4球投げなくても打者を一塁に歩かせられるという新制度。米国時間15日までに61個のノースロー敬遠が記録されてるらしい。

 大リーグが最近導入した制度には反対ばかりしてきたけど、これはいいね。賛成。DeNAの監督やってるときから、こんな制度ができないかなと思ってた。日本でも来季から導入するかどうか近く検討を始めるらしいけど、取り入れていいと思うよ。

 反対派の人は「敬遠のドラマがなくなる」と言う。たしかにありました。阪神の小林繁さんが1982年の開幕戦で敬遠球を暴投してサヨナラ負け、90年に巨人のクロマティ、99年には阪神の新庄剛志が敬遠球を打ってサヨナラ勝ち…。

 でも、21世紀に入ってからはどう?「甘く来たら打ってやるぞ」という雰囲気を持った打者も見ない。20年近く起きていないドラマを待つより、ボールを4球投げる間の無駄な空気を排除して試合時間の短縮を図る方が現実的じゃないかな。

 これもファンに対する気遣い。野球の醍醐味(だいごみ)を奪うコリジョンルールとは全然違う。勝敗を分ける本塁ベース上の攻防。捕手と走者が体を張り、命懸けで技術をぶつけ合う。去年から導入されたコリジョンルールはその最高のシーン、興奮をファンから取り上げているんだ。

 今季からは併殺封じの危険なスライディングも禁止された。まだ一度も適用されてないけど、強烈なスライディングをかわして一塁へジャンピングスローするのもテクニック。二遊間の技術の見せどころだ。

 ケガ防止というのは分かる。でも、そのためにプレーの質を落とすのはおかしい。審判が明らかに危険なタックルやスライディングと判断したら退場させればいいし、あからさまなラフプレーには出場停止の厳罰を下せばいい。そうすりゃコリジョンルールなんて必要なくなるよ。

 投手がよっぽどのヘマをしないかぎり生まれない敬遠のドラマを待つより、毎試合のようにある本塁ベース上の興奮を再び!故意四球ルールの導入と同時にコリジョンルールの見直しも検討してほしい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2017年4月18日のニュース