ヤンキース・田中「リミッターを外した」158キロに見せた進化

[ 2017年4月17日 10:40 ]

8日のオリオールズ戦で先発したヤンキースの田中将大
Photo By スポニチ

 ヤンキースの田中が8日のオリオールズ戦で、地元テレビ局のスピードガンによる計測で自己最速となる98マイル(約158キロ)をマークした。試合後の「リミッターを外して投げた」というコメントが印象的だった。

 例年、春先は球速が出ないという。体感で気温10度を下回るような寒さと強風の中での試合でもあっただけに、翌日のクラブハウスでは「あの気温と風で(最速が)出ると思わなかった。自分でもびっくりした」と正直に語った。「リミッター」については「外したというか外さざるを得なかったというのが正しい表現」と説明。スプリット、スライダーの制球を乱して自己ワーストの6四死球を記録しており、開き直って腕を振って投げたのが自己最速の直球だった。「あれを続けたら体のどこかがぶっ飛ぶ。あれは良くない」と笑っていた。

 2日のレイズとの開幕戦では2回2/3を7失点でKOされた。8安打中5本がスプリットを打たれたもの。試合後の会見では「(打たれたのが)スプリットばかりだなとは思ったけど、投げるボールがほかになかった」と話していた。軸になる球種が見つからないまま、甘く入ったスプリットをことごとく痛打された。

 8日の2戦目は違った。中盤に制球が悪くなりだした変化球を妥協して投げ続けるのではなく、5回のピンチは直球で押し切り、自己最速まで記録した。田中自身が言うように、ケガのリスクを考えれば投げないに越したことはない球だろう。だが、「リミッターを外した直球」が最後の最後に頼る武器として加わったとも言えるのではないか。右腕は「30歳手前でまだ伸びしろがあるんですかね」と冗談ぽく言っていたが、極端に調子が悪い試合が開幕から2試合続いたことで、また一歩進化したように見える。(記者コラム・渡辺 剛太)

続きを表示

2017年4月17日のニュース