藤浪 エース復肩初星!フォーム修正で前回9四死球から1四球「意識した」

[ 2017年4月14日 08:10 ]

セ・リーグ   阪神4―1DeNA ( 2017年4月13日    横浜 )

<D・神>8回1失点で今季初勝利の藤浪
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 阪神は13日、DeNA戦(横浜)に4―1で勝ち今季初の3連勝。貯金を今季最多2とし2位に浮上した。

 “じっとこらえて”壁を破った。藤浪が鮮やかに蘇った。「先発の一番するべき“長いイニングを投げて少ない失点”ができた。それが1番良かった」。序盤からテンポ良くアウトを重ねた。奪三振3と控えめだった分、内野ゴロを量産してリズムを作った。1点リードの6回1死から梶谷に中越え同点ソロを浴びても、続くロペス、筒香の中軸を計3球で料理。8回まで投げ切り、直後の勝ち越し劇を生んだ。

 4日のヤクルト戦の試合途中だった。「直球のリリースの感覚がないんです…」と梅野に打ち明けた。今季初登板の同戦では5回2失点、9四死球と乱れ、畠山の左肩への死球を巡って乱闘にも発展するなど、試合は荒れた。武器である直球が、右腕から“消えて”いた。「晋太郎があんなことを言うのは、初めて聞いた」と女房役も驚くほどの苦悩。だが、時間は待ってくれない。失ったものは、自力で取り戻すしかなかった。

 胸元だったグラブの位置を下げ、中8日で4度の投球練習を敢行し投球フォームを修正した。「タイミングや間合い、そのあたりを意識した。ボールが安定してきたのでテンポも良くなった」。軸足である右足に体重が乗る、安定感あるフォームから繰り出される直球が“生還”を果たしていた。

 「苦しいこともあるだろう。云い度(た)いこともあるだろう。不満なこともあるだろう。腹の立つこともあるだろう。泣き度(た)いこともあるだろう。これらをじつとこらえてゆくのが男の修行である」。

 「座右の銘」と聞かれれば、決まって「感謝」と答える右腕が、密かに胸に刻む言葉だ。第26、27代連合艦隊司令長官・山本五十六の残した「男の修行」に、自身を重ね合わせたことは1度や2度ではない。

 「野球にも、今の自分にも、意外と通じる言葉なんですよね。我慢して、こらえて…確かにそうなんですよね。良い言葉ですし、額に入れて、部屋に飾りたいぐらい」

 順風満帆なプロ生活を送っているように見えても、試練は多い。「男の修行」は、困難に直面しても、ぐっと拳を握り、唇を噛みしめることのできる“教え”だった。

 12日に23歳の誕生日を迎え、1日遅れのバースデー星に、少しだけ表情は緩んだ。「あまり感動ではないですが…。23歳ということで、気持ちを新たにマウンドに上がって勝つことができて良かった」。じっとこらえる日々は、続く。だから、藤浪はもっと強くなれる。(遠藤 礼)

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