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野球という仕事 梶谷隆幸が痩せゆく体質に抗い続ける理由とは

ファンとハイタッチするDeNA・梶谷
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 【君島圭介のスポーツと人間】1月、都内のスポーツジムにDeNA・梶谷隆幸の姿があった。肩に担いだバーベルは160キロ。スクワットを繰り返す。驚くべきはそのスピード感だ。

 「体重は速筋を増やすことで増やしたい。速筋を鍛えることで(いろいろな)数値が上がっている」

 オフの間に体重を88〜89キロまでにする。梶谷を「一皮」むけば極太な白い筋繊維で成立しているだろう。キャンプ中には糖質や脂肪分も取り込みながら、90キロ台での開幕を目指すのがこの数年の、いわばルーティンだ。

 本来の技術にスピードとパワーを備えた梶谷には「3割・30本塁打・30盗塁」のトリプルスリーの期待も高まる。相手チームは筒香とともにDeNA打線で最も警戒し、あらゆる対策を講じてくる。だが、梶谷は敵と同時に戦わなくてはいけない相手がいる。自分自身の体質だ。

 「昨年は最高93キロまでいった体重もシーズン終了時は78キロでした」

 プロ野球のシーズンは4〜10月の約7カ月。その間に15キロの体重減とは尋常ではない。米作家スティーブン・キングの『痩せゆく男』ではないが、オフに地獄のような苦しみで作り上げた筋肉がホラー小説のように減ってしまう。15、6%まで蓄えた体脂肪も7、8%まで落ちるという。

 本来の体質というより、速筋で作り上げた肉体の宿命なのか。もともと速筋とは継続的な運動に使われる遅筋の「脇役」的な存在だ。遅筋では対応できない瞬発的な動作の必要性が生じたとき(例えば突然飛んできたものを避けるとか)に体内の糖質をエネルギー源にして爆発的な力を発揮する。この速筋で最大のパフォーマンスを行うのは陸上短距離や跳躍系の競技だろう。

 車ならF1。エンジンが大きければ燃費率も上がるのは当然だ。陸上の短距離走もF1も毎日レースを行うことはない。そもそも速筋は意識して鍛えなければ自然と遅筋に取って代わられる。年間143試合+α(ポストシーズンなど)を戦う野球選手が速筋を維持することが、どれほど過酷かは想像に難くない。

 放っておけば細くなる筋肉を維持するため、梶谷はバナナやクエン酸入りのプロテインなど常に間食を取り続ける。夕食前にチャーハンを作ったり、どら焼きを食べ続けたこともあるという。そこまでして体を大きくする理由は入団3年目に感じた危機感にあった。

 初めて1軍昇格を果たした09年は22試合44打席で5安打に終わった。「このままだと消えてしまう」。技術ばかり追い求めた3年間。センスだけでプロの世界ではやっていけないと痛感した。その答えが今だ。今季も開幕から梶谷は打ち続けている。その白く、太い筋肉を最大限に活用しながら。(専門委員)

 ◆君島 圭介(きみしま・けいすけ)1968年6月29日、福島県生まれ。東京五輪男子マラソン銅メダリストの円谷幸吉は高校の大先輩。学生時代からスポーツ紙で原稿運びのアルバイトを始め、スポーツ報道との関わりは四半世紀を超える。現在はプロ野球遊軍記者。サッカー、ボクシング、マリンスポーツなど広い取材経験が宝。

[ 2017年4月13日 10:30 ]

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