オリックス開幕3連敗→5連勝を呼んだ守護神・平野の気遣い

[ 2017年4月11日 10:00 ]

5日の西武戦で今季初セーブを挙げ、勝ち投手の松葉(左)に迎えられる平野
Photo By スポニチ

 侍ジャパンとして奮闘したオリックスの守護神・平野が救援陣の大黒柱として存在感を示している。

 「やっぱり多少の疲労感はあるよ。でも僕らは、高いところでプレーしている。そんなことは言っていられないからね」

 3月31日の楽天との開幕戦から10日までに5試合に登板して2セーブ(1敗)、防御率3・60。5日の西武戦(メットライフ)では浅村、中村ら中軸を3者凡退に仕留めて今季初セーブを挙げるなどWBCの激戦の疲労を感じさせない、頼れる男ぶりを発揮している。

 マウンドを降りても、救援陣の精神的支柱としてけん引する。球団ワーストとなる6年連続黒星を喫した楽天との開幕戦。先発のエース金子が制球難で5回4失点と主導権を奪われたが、終盤にT―岡田が一時同点となる1号ソロ。反撃ムードが高まる中で、延長11回にプロ初登板となったドラフト8位・沢田(立大)が決勝2ランを被弾し敗戦投手になった。京セラドームの地下駐車場で、プロの洗礼を浴びた沢田の表情は暗かった。試合後、重苦しい雰囲気が漂う中で平野は沢田に声を掛けた。

 「僕もルーキーの時に何度も打たれて、“この世界でやっていけるのかな…”って悩んだこともあったから。沢田には“まだ1試合だから”と。大した話じゃないですけどね。初めての登板が開幕戦で重要な場面だったし、思うところもあったと思うから」

 自身が苦境に陥ってもチームを鼓舞した。開幕3戦目の2日の楽天戦(京セラドーム)。1点リードで勝利目前の9回2死から逆転2ランを被弾し、「勝ちパターン」で、つかみかけた今季初勝利を目前で逃した。悪夢から一夜明けた3日は翌日の西武戦(メットライフ)に向けた移動日。平野は中継ぎ陣全員を集め、立川市内の焼き肉店で決起集会を開いた。チーム宿舎近くにあり、プロ野球選手が足しげく通う隠れ家的名店で、全員にごちそうした。球団創設以来初の本拠地開幕3連敗を喫した直後で、沈む空気を払拭(ふっしょく)。そこから9日の日本ハム戦までディクソン、松葉、金子、コーク、西と先発投手全員に勝ちがついての5連勝を呼び込んだ形だ。

 自身は10日現在で通算496試合に登板し、球団歴代6位の佐藤義則の501試合登板にあと「5」と迫る。「状態が良くても打たれることはあるし、悪くても抑えるだけだから。どんな時でも、僕らは結果を出すだけだから」。背番号16が、逆襲を期すチームの土台を支えている。(記者コラム・湯澤 涼)

続きを表示

2017年4月11日のニュース