金本監督「育成の一つ」勝ち越し好機で高山に代打・中谷

[ 2017年4月10日 09:20 ]

セ・リーグ   阪神4―3巨人 ( 2017年4月9日    甲子園 )

<神・巨>7回2死二塁、高山(右)に代打を送る金本監督
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 想定外な3本塁打によるG倒での今季甲子園初勝利で隠れた形になったが、不発に終わった阪神・金本監督の勝負の一手は、高山に成長を促す愛のムチでもあった。

 「あそこは勝負に行ったので。打てる確率として、今は森福に対しては中谷の方が確率があるかな、ということでね」

 7回だ。同点に追いつき、なおも2死二塁。指揮官は打席へ向かおうとした高山を呼び止めた。アドバイス…ではない。前の打席まで3打数1安打ながら、決して状態が良いとは言えなかった昨季新人王をベンチに下げ、代打・中谷をコールし勝負をかけた。中谷は三邪飛に終わったが、その采配には、もう一つの思惑が備わっていた。

 「高山にしても、悔しい思いをしないと。我慢して使い続けるのも育成かもしれないけど、ああやって外して悔しい思いをさせるのも、僕は育成の一つだと思っている」

 高山は昨季、球団新人の安打記録を更新し、今季も開幕から1番で先発起用されている。それが一打勝ち越しの絶好機で代打を送られ、悔しさはひとしおに違いない。不甲斐ない思いも味わったはずだ。そのすべてを織り込み済みで金本監督は代打を送った。新人王だからレギュラー確定ではない。若手育成を大方針に掲げる指揮官が、高山に求めている数字は「打率3割20本」。そのためには、苦汁をなめさせることも必要だ。金本監督自らも若かりし時代、幾度となく悔しい思いを味わい、それを糧に球界を代表する打者へと成長した。その実体験も踏まえての行動だろう。

 この日の逆転劇を「粘りというか、あきらめないというか、流れに負けないというか…。これはメンタルと思う。あきらめないという、そういう姿勢でやっていってほしい」と表現した。だから背番号9にも、メンタル面のさらなる成長を期待した。(惟任 貴信)

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2017年4月10日のニュース