藤浪守ろうと…飛び蹴り退場の矢野コーチ「たまたまバレンティンが来たから」

[ 2017年4月5日 07:35 ]

セ・リーグ   阪神1―3ヤクルト ( 2017年4月4日    京セラD )

<神・ヤ>5回、無死一塁、畠山の死球をきっかけにした乱闘でエキサイトする金本監督(中)と矢野コーチ(右)
Photo By スポニチ

 阪神は4日、今季ホーム開幕戦となるヤクルト戦(京セラドーム大阪)に1―3で敗れ、3連敗を喫した。5回、立ち上がりから不安定だった先発・藤浪晋太郎投手(22)が畠山に与えた死球を巡って乱闘騒ぎが勃発し、矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(48)とバレンティンが退場処分となった大荒れの一戦。競り負けた金本知憲監督(49)は冷めやらぬ怒りを押し殺しながら、厳しい言葉で敗戦を振り返った。

 敗戦後の金本監督は、怒りを押し殺すかのように淡々と対応した。ただ、その行間からは怒りの感情がにじみ出た。不甲斐ない投球だった藤浪には「もうピッチングになっていないね。ストライク入らんのんだから、どうしようもない」とバッサリ。そして乱闘騒ぎでのバレンティンと、松田、藤川の奮闘に応えられなかった敗戦へ、矛先を向けた。

 「まあ、こっちも原口を当てられとるわけだから。別にこっちが、お返ししたわけじゃないし。勝負の中で当たったんだから。そりゃあ横から不意打ちで殴ってきたら、(バレンティンを)許せないでしょ」

 0―2の5回無死一塁。カウント2ボールから藤浪が投じた142キロ直球が左肩に直撃した。畠山が怒りの形相で藤浪に詰め寄ると、両軍の選手がベンチから飛び出して本塁付近で、もみ合いが始まった。バレンティンが矢野作戦兼バッテリーコーチを後ろから吹き飛ばすと、立ち上がった同コーチは跳び蹴りで応戦。参謀に乱暴を働かれては、金本監督も黙っちゃいられない!!

 乱闘騒ぎは小競り合いを演じた末に一段落も、バレンティンと矢野コーチが退場処分となり、警告試合を宣告された。試合後、冷静さを取り戻した矢野コーチは「一番は晋太郎を守ること。たまたまバレンティンが来たから応戦してしまった。バッテリーとしては投手を守らないと」と現役時代の06年以来11年ぶり3度目の退場となった経緯を説明し、「チームとして勝ちたいという気持ちが出た。勝ちたかった」と敗戦を悔しがった。

 両軍の間には昨年から火種がくすぶっていた。昨年4月19日(甲子園)では、谷内が藤浪の死球で左尺骨を骨折。その遺恨を残したまま迎えた同年5月26日(神宮)でもマテオの死球を受けたバレンティンが激高し、一触即発の騒ぎとなった。そして、この日。制球難の藤浪は序盤から山田、バレンティンの頭部付近にボールを投じている。ついに5回、くすぶっていたものが暴発してしまった。

 乱闘騒ぎの怒りを力に変え、反撃を目指した金本阪神。だがその思いもむなしく、糸井の2号ソロで1点を返すのがやっとだった。「その(糸井の本塁打)後の松田と球児が、ああいうピッチングをしてくれたから。あれを、何とか勝ちに結びつけたかった。きょうはそれだけ」と指揮官。後味の悪い敗戦となった。(惟任 貴信)

続きを表示

2017年4月5日のニュース