【甲子園百景・春】史上初が2度、最後は大阪桐蔭が春2度目のV

[ 2017年4月2日 11:10 ]

第89回選抜高校野球大会最終日・決勝   大阪桐蔭8―3履正社 ( 2017年4月1日    甲子園 )

<大阪桐蔭・履正社>9回、決勝2ランを放った代打西島(左)を迎える西谷監督
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 史上初となった大阪決戦は“決勝では負けない”大阪桐蔭が9回に履正社を突き放し、センバツ2度目の優勝を飾った。選手、監督、関係者を取材しプラスな話をお届けする。

 3月26日に行われた2回戦。第1試合は報徳学園が前橋育英に快勝して迎えた第2試合。福岡大大濠・三浦、滋賀学園・宮城、棚原の投手戦で延長15回引き分け再試合となった。27日の3試合が4試合となり、本来午前9時開始の秀岳館―作新学院が8時半開始に。福岡大大濠―滋賀学園が第4試合に組み込まれた。ところが第3試合の健大高崎―福井工大福井も引き分け再試合。史上初の珍事となった。1日5試合はできないから1日置いて再戦が決まった。

 この結果、準々決勝翌日の休養日が消え、この両校は決勝に進出した場合4連戦になった。ここで浮上したのがタイブレーク論。ある関係者は「サッカーでもPK戦がある。これはワールドカップでも採用され、世界の制度だから違和感はあっても仕方ないと思っている。野球もWBCで採用され世間の認知度も上がった」と、近い将来タイブレーク採用に動くだろうと予想した。

 準決勝で履正社に敗れ勇退した報徳学園・永田裕治監督。本紙のY記者も教え子の1人。すると同監督、Y記者の高校時代の話を始めた。「アイツは元気があったからセンバツでベンチに入れたんだよ。ただしノックは受けるなと。下手だから。夏は甲子園のベンチから外したら、ボールボーイをやらせて下さい!と言ってきた。3年生がそこまで言うならとやらせた。試合中球審からロジンバックをマウンドに持っていってと言われ持って行った。すると選手をマウンドに集めミーティング始めちゃった。なにしとんねん!と。1試合3回しかない貴重なタイムなのに、ボールボーイのYが1回使っちゃったんだ」これには私も腹を抱えて笑った。もちろんY記者、監督のラストゲームには甲子園を訪れ「お疲れさまでした」と頭を下げた。

 NHK小野塚康之アナを書いた回では、NHKに「小野塚さん辞めるんですか!」とか「もう実況しないんだ!」とか想像以上の問い合わせが来たという。私の書き方が悪かったのか、夏の甲子園は未定なだけ。4月からは金曜日午後の情報番組のMCを務める予定。ご迷惑をかけた。

 大阪同士の決勝戦。大阪桐蔭の西谷浩一監督は「明日から夏に向けた山に登ります」と話した。大阪はシードはない。昨秋の大阪王者は上宮太子。他にも強豪がひしめく激戦区だから甲子園より大変な“大阪夏の陣”はどうなるのか?それも高校野球ファンには気にかかるところ。履正社の安田には触れなかったが、本塁打を打った後、大勢の報道陣に囲まれても浮かれたりチャラチャラ感はまったくない。記者の目を見てしっかり話す態度は応援したくなる男。松井秀喜氏を尊敬する安田を見ていて、日本代表の4番・筒香を想像した。もの静かに一歩ずつ階段を登る。夏、どれだけ成長してくれるか。決勝での敗戦が大きくなるステップになってくれたらと願う。(特別編集委員 落合 紳哉)

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