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4年後「ボールが…」と思わないでいいように

WBC公式球
Photo By スポニチ

 【永瀬郷太郎のGOOD LUCK!】そりゃ打てんわな。150キロを超えるツーシームが外角のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる。このスピードで、鋭く動く。打ちにいってもバットの先に当てるのがやっと。力負けを認めるしかなかった。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝(ドジャースタジアム)。1−2で敗れた米国戦である。

 「ピッチャーにとっては1−2の負けでもバッターは1−5くらいに感じたかもしれないね」

 そう振り返るのは現地で取材したスポニチ評論家の槙原寛己さんだ。

 先発のロアーク(ナショナルズ)から7人継投の前に散発4安打。菊池涼介(広島)の右超えソロで1点は奪ったが、ヒットが続かない。1点を追う8回2死一、二塁。不動の4番・筒香嘉智(DeNA)の捉えたかに見えた一撃は定位置から少しバックした右翼手マカチェン(パイレーツ)のグラブに収まった。

 セットポジションでいつ静止したか分からないような横手投げのニシェク(フィリーズ)のチェンジアップ。日本だったらボークを取られるような変則フォームで、わずかにタイミングを外されたのだ。それでも筒香のパワーである。日本のボールだったら、ひょっとしたかもしれない。

 WBCは米大リーグ機構(MLB)とMLB選手会が共同で立ち上げたワールド・ベースボール・クラシック・インク(WBCI)主催の大会。MLBと同じローリングス社製のボールが使用される。毎度問題になる「滑るボール」である。

 これを「国際球」と勘違いしている人もいるかもしれないが、それは違う。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の公認球はミズノ社製のNPB統一球なのである。

 滑るMLB球としっとりしたNPB統一球。違いは表面の感触だけじゃない。ボールの大きさは世界共通、公認野球規則で重量141・7〜148・8グラム、円周22・9〜23・5センチと定められているが、MLB球がその上限でつくられているのに対し、NPB球は下限。サイズが少し違うのだ。

 NPB球より重いMLB球は縫い目も高く、指に掛かりやすいから大きく曲がる。しかも一個一個のバラツキが大きく、変化が一定じゃない。重くて動きがえげつない。それがメジャーの「動くボール」なのである。

 このやっかいなボールに対応するにはどうすればいいのだろうか。小久保裕紀監督が準決勝終了後「(日本の)リーグがフォーシーム主体。どこで訓練するのか」と話したように、日本にはメジャー級の動くボールを投げる投手はいないし、投げようとしてもNPB球をMLB球のように変化させるのは至難の業だ。

 2019年に開催されるWBSC主催の第2回プレミア12、2020年の東京五輪では「国際球」のミズノ社製NPB統一球が使われるから大丈夫。問題は2021年に開催される第5回WBCである。

 より品質のいいボールを提供しているミズノ社に質を落としてローリングス社製に合わせてくれというのは無理な話。ローリングス社がミズノの技術を取り入れて表面がしっとりするよう改良してくれればいいのだが、それもありえない。

 ならばミズノ社にMLB球と同じ大きさと重さのボールをつくってもらいたい。それまで球団ごとに複数メーカーのボールを使っていたプロ野球界がミズノ社製の統一球採用に踏み切ったのは2011年。国際大会で違和感のないボールに近づけるということだったのに、合わせたのは低反発の部分だけだった。

 4年後にまた「ボールが…」と繰り返さないでいいよう上限サイズの新統一球を。ついでに縫い目も高くしてくれたら、より動くようになる。日本でもえげつないボールが流行すれば、打者も対応するようになる。世界一奪還のためです。ご一考を。(特別編集委員)

 ◆永瀬 郷太郎(ながせ・ごうたろう)1955年、岡山市生まれ。野球記者歴36年。2006年の第1回WBCはドミニカ共和国を追いかけて1次ラウンドはフロリダ、2次ラウンドはプエルトリコのサンファンに飛んだ。

[ 2017年3月29日 11:45 ]

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