【検証 侍ジャパン】世界=「動く球」 見据えるなら侍たちの意識変化が必要

[ 2017年3月25日 10:00 ]

WBC準決勝の米国戦で8回2死一、二塁、筒香は右飛に倒れガックリ
Photo By スポニチ

 知将の指摘は3日後に現実となった。18日(日本時間19日)に行った練習試合・カブス戦の試合後だった。ジョー・マドン監督は「悪いこととは思わないけど…」と静かに続けた。「鏡に映したような選手が多い。米国では個人の特徴を残したままそこから考えるが、日本は1種類のスタイルにしようとしている。多くの選手が足を上げるから、投手も変化球を多く投げるのだろう。メジャーでは足を上げていたら打つのは困難」。野球の違いを指摘していた。

 21日(同22日)の準決勝。日本は米国にソロ本塁打の1得点のみで敗れた。重くて、変化の大きいツーシーム。カットボーラーや変則投手の前に散発4安打。小久保監督は「動くボールへの対応はずっと言われていますが、ただ(日本の)リーグがフォーシーム主体。どこで訓練するのか」と語った。

 国際基準で球を統一すべきとの意見も聞くが、現実的ではない。強化試合で経験を積み重ねていくしか現状は見当たらないが、同時に各選手が世界を見据えて意識高く取り組むしかない。不動の4番を務めた筒香がドミニカ共和国の武者修行を経てすり足に変えたが、動く球に強い選手とはどういった選手かなど、データ面からのアプローチも必要になる。

 「個性」とは何か。それを再認識させられる大会となったが、同時に世界は日本の「和」の力を称賛した。侍ジャパン常設化に伴うチームの結束力は世界一だった。日本国内での戦いに満足するのであれば、動く球に対応する必要はないのかもしれない。ただ、世界を見据えるのであれば変化は必要だ。侍戦士の意識一つで、今後の野球界全体の向かうべき道も変わってくる。(侍ジャパン取材班)

続きを表示

2017年3月25日のニュース