千賀 侍ドリームだ!日本から唯一WBCベストナイン

[ 2017年3月24日 05:30 ]

大勢のファンに出迎えられ帰国する千賀
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 「育成の星」から世界の「SENGA」に――。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で準決勝敗退した侍ジャパンは23日、チャーター機で成田空港に帰国した。大会主催者は決勝戦終了後、今大会のポジション別優秀選手を発表。「お化けフォーク」でメジャーの強打者を震え上がらせた千賀滉大投手(24=ソフトバンク)が侍ジャパンからただ一人選出された。育成契約で入団した右腕が世界の舞台を経験し、さらに飛躍を遂げる。

 午後5時20分。200人のファンが出迎えた成田空港に侍ジャパンのナインが帰国した。世界一奪回はならなかったが、「お疲れさま!」の掛け声とカメラの無数のフラッシュ。マスク姿で到着ロビーに姿を見せた千賀を待っていたのは、栄誉ある勲章だった。

 決勝戦終了後、今大会の「ベストナイン」といえるポジション別優秀選手が発表され、侍ジャパンでただ一人選出された。それを成田空港で知ったという。そのまま羽田空港経由で、午後10時前に福岡空港に到着。疲労をにじませながらも「評価してもらえたのは素直にうれしい。海外の打者と戦っていけたことは自信にしたい」と表情を緩ませた。

 今大会は計11回を投げ1失点で、防御率0・82。計16奪三振は大会タイ記録だった。投手は3人が選ばれたが、米国を初優勝に導き、MVPを獲得したストローマンらとともに「SENGA」の名前が世界に刻まれた。

 準決勝の米国戦では、1―1の7回から救援。8回に大会初失点となる決勝点を許したが、メジャーの強力打線相手に4者連続三振をマークした。代名詞の消えるように落ちる「お化けフォーク」はメジャーも注目した。空振り三振に打ち取られたマーリンズで昨季21本塁打のイエリチは「見たことのないスプリットには驚いた」と称賛。大リーグ公式サイトは「今大会の驚きの7人」に、筒香、山田とともに千賀を選んだ。

 「育成の星」と脚光を浴びるが、常に「恐怖心」と闘ってきた。11年の新人合同自主トレでは同期入団の柳田のキャッチボールに「投手の自分より速い」と心が折れ、戦力外が頭をよぎった。初めて侍ジャパンの一員となった昨年11月の強化試合・オランダ戦では延長10回に3暴投の乱調。オフにWBCへの意気込みを聞かれても「選ばれるわけがないでしょ」と答えた。先発を務めた15日のイスラエル戦(東京ドーム)は3回以降は「もう無理」とベンチへ戻るたび弱音を吐いた。ただ、脅威を感じると「もっと成長したい。凄い打者を抑えたい」という感情が湧き上がる。だからこそ倒されないよう踏ん張る。その繰り返しが今の千賀を生んだ。

 初めての世界大会を振り返り「野球人生のプラスになった。新しい発見や知らなかったことを経験できたことは大きかった。それをホークスで生かせるようにしたい」と言った。世界のベストナインから、千賀はさらなる高みを目指す。

<侍ジャパンのベストナインアラカルト>

 ★06年 3戦3勝で防御率1・38の松坂(西武)、打率・409、1本塁打、5打点の里崎(ロッテ)、打率・364、1本塁打、5打点、4盗塁のイチロー(マリナーズ)の3人。松坂はMVPも獲得した。

 ★09年 松坂(レッドソックス)が再び3戦3勝で2大会連続のMVPとダブル選出。投手では岩隈(楽天)も3試合で1勝1敗ながら防御率1・35の好成績で選ばれ、野手では打率・324、7打点の青木(ヤクルト)が唯一選ばれた。

 ★13年 投手、野手とも1人ずつの選出。前田(広島)は3試合で2勝1敗も防御率0・60、18奪三振と抜群の内容。井端(中日)は2次ラウンド台湾戦の決勝打など打率・556、4打点を挙げ、DHで選出された。

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2017年3月24日のニュース