札幌第一センバツ初勝利は持ち越し 二枚看板が自滅

[ 2017年3月23日 05:30 ]

第89回選抜高校野球1回戦   札幌第一1―11健大高崎 ( 2017年3月22日    甲子園 )

<健大高崎・札幌第一>7回、山下に右越え満塁弾を浴び険しい表情を見せる前田
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 センバツ初勝利はならなかった。2年連続2度目出場の札幌第一は、第3試合で高崎健康福祉大高崎(群馬)と対戦して1―11で敗れた。相手の“機動破壊”への過剰意識から、先発のエース左腕・冨樫颯大(3年)が3回途中5失点降板。救援した二枚看板の左腕・前田剛志(3年)も7回に追加点を許した。自慢の打線もわずか3安打。初戦敗退した1年前と同じ「3・22」に春1勝は遠かった。

 昨年に続き、2度目の春も壁を乗り越えられなかった。エースの序盤の失点、救援陣も終盤に追加点を許しての完敗。春1勝は遠かった。

 「凄く自分に対するプレッシャーがかかった。気になってしまうことで自分の投球のリズムが崩れた」。先発・冨樫は悔しさをにじませた。「機動破壊」と称される高崎健康福祉大高崎の“足攻”への過剰な意識。塁上の走者の細かな動きが気になり、何度もけん制を入れた。さらに1ボールからでも盗塁警戒でウエスト。打者への集中力を欠き、投球のリズムを崩し、カウントを悪くして打たれた。2回は無死一塁から高めに浮いたスライダーと直球を連続二塁打され、3回も1死から連打と連続死球。わずか59球で降板した。

 この日許した盗塁は2回の三盗の1つだけ。だが、数字には表れない無言の重圧に屈した。「甲子園は今までやっていることが試される場。楽しい場所であり、怖い場所でもある」。冨樫はそう言って肩を落とした。

 前日21日の雨天順延で、初出場の昨年と同じ3月22日の試合に。昨年も救援で登板した冨樫と前田を含めベンチ入り7人が昨年の経験者で、雪辱の思いを胸に戦ってきた。冨樫と前田は中学時代からのライバルだが、冨樫は前田から変化球の制球のアドバイスをもらうなど競いながら成長。7回に2年生4番・山下に高めに浮いたスライダーを満塁弾にされ、前田は「(機動力の)イメージでやられてしまった。今年は周りを見ることはできたが、抑えたい思いで投げ急いだ」と悔やんだ。

 走られなくても足のイメージに押しつぶされての完敗。菊池雄人監督(44)は「足で集中力が分散させられた。いい投手になるには、こういうのを乗り越えていかないと」と二枚看板に奮起を促した。手痛い敗戦をどう生かすか。冨樫は言った。「もう一度考え直す時間が必要。また戻ってきて、悔しさを晴らすしかない」。その言葉は夏への第一歩だった。 (竹内 敦子)

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2017年3月23日のニュース