東京五輪野球&ソフト 福島で開幕戦 侍ジャパン初戦で復興後押し

[ 2017年3月18日 09:18 ]

2020年の東京五輪で野球とソフトボールの開幕戦が開催されることが決まった福島県営あづま球場
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 国際オリンピック委員会(1OC)は17日、韓国の平昌(ピョンチャン)で理事会を開き、2020年東京五輪の追加種目、野球・ソフトボールの一部試合を福島県で開催する計画について、県営あづま球場(福島市)を会場とすることを全会一致で決めた。東日本大震災の復興支援を後押しする狙いがあり、野球とソフトボールの1次リーグで開幕戦1試合ずつを行う方針となった。

 福島県の会場候補としては、あづま球場以外に開成山球場(郡山市)、いわきグリーンスタジアム(いわき市)も挙がっていた。大会組織委員会は施設改修を前提としてプロ野球公式戦の開催実績もあるあづま球場に絞って調整。今回の理事会で全会一致での決定にこぎつけた。これを受けた組織委の森喜朗会長は「おそらく(1次リーグの)開幕試合になるだろう。この五輪は復興ニッポンという大きなタイトルからスタートした。被災地の皆さんに喜んでもらう形にしたい」と話して野球、ソフトボールとも同球場で開幕試合を行う方向性を示した。

 1次リーグの日本戦を福島県で実施するアイデアはIOCのバッハ会長も提案。被災地で競技実施の意義を強調していただけに世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長は「福島に希望をもたらし復興を示す大きな一歩を踏み出すことに祝意を表したい」と喜びを表し、日本野球機構(NPB)の井原敦事務局長も「(継続して行う)復興支援の一環としてできれば」と前向きに話した。

 東京五輪の野球競技は、過去のように8チームではなく出場は6チーム。大会方式は1次リーグで出場チームを2組に分けて実施する組織委案に対し、WBSCは24年五輪での競技実施をアピールするため、試合数が6から15に増える6チーム総当たりを主張。試合増に伴い、主会場の横浜スタジアム以外に首都圏にもう1会場必要だと訴える。組織委の武藤敏郎事務総長は「コスト削減の側面からも、これ以上の追加会場はこちらも譲れない」と話すなど、確定していない部分もある。

 それでも、NPBの熊崎コミッショナーは「ベストメンバーで臨む」と公言。五輪期間中は約2週間、公式戦を中断するなど全面的に協力する姿勢も打ち出している。公開競技だった1984年のロサンゼルス五輪以来となる金メダルへ。侍ジャパンのトップチームが、福島の地からスタートを切る。

 ▼スポニチ本紙評論家・中畑清氏(福島県矢吹町出身)原発問題を抱える地元で五輪の競技が開催される。「フクシマは安心・安全」。世界に向けてメッセージを発信するチャンスだ。大きな意義がある。福島県人の一人としてこんなうれしいことはない。原発事故から6年が経過した今もたくさんの人が避難生活を強いられている。風評被害に苦しんでいる人も多い。そんな人たちに元気と勇気を与え、風評を一掃する新たなスタートラインとなる大会にしてほしい。

 ◇県営あづま球場 福島市のあづま総合運動公園内にあり、1986年9月に完成当時は東北6県で最大規模を誇った。両翼100メートル、中堅122メートル。内野は土、外野は天然芝。2013年春にスコアボードがLED方式となった。スタンド収容人数3万人。高校野球、社会人野球、ルートインBCリーグなどのほかプロ野球公式戦も毎年実施。今季も6月28日にヤクルト―巨人戦が行われる。

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