侍J千賀が大一番初先発で零封 フォーク不調も即封印し対応

[ 2017年3月16日 05:39 ]

WBC2次ラウンドE組   日本8―3イスラエル ( 2017年3月15日    東京ドーム )

<日本・イスラエル>4回1死、フレイマンのスイングをアピールする日本先発・千賀
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 左足のふくらはぎは、つりかけていた。5回を終えた侍ジャパンの千賀は、権藤投手コーチに「代えてください」と申し出た。後先考えずに投げ続けた証だ。

 「0の回を増やしていこうと投げ続けた。一発を食らう甘い球が1つもないように。(足をかばって)失投するなら代えてもらった方がいいと思った」

 強化試合、大会を通じて一度もなかった先発。「不安はあった」と言うが、目標にしていた4回を超え、63球で5回1安打無失点に抑えた。先発を告げられたのは、4時間46分の死闘を制した12日のオランダ戦後。状態の良さを見た小久保監督から「中継ぎ起用と話していたけど、急きょ先発に回ってもらった」と中2日で託された。

 4、5回を3者凡退。ピンチらしいピンチは3回2死三塁の一度だけだった。2番ケリーをフォーク2球で追い込むと、最後は内角低めに152キロ直球を投げ込んだ。見逃しの3球三振。「僕の代名詞フォークがあまり良くなかった」と、試合中に決め球を代えた。「直球、他の変化球を生かしてリードしてくれた」。小林にも感謝した。

 先発に転向した昨季は12勝。夏場には「キャッチボールをするのさえつらい」と感じていた。そんな時、工藤監督の言葉に救われた。「つらい時はケアではなく、トレーニングを入れ(筋肉を)締めて投げてみたらどうだ?」――。逆転の発想に驚いた。戸惑いもあったが「攻めの調整」を取り入れ、最後までローテーションを守り抜いた。重圧も計り知れないWBC。連日、深夜までの試合が続き疲労はピークだ。そんな中でも「やることは変わらない。普段通りの調整をした」。昨年の「貯金」を生かし突然の大役に応えた。

 今大会は侍投手陣最多の9イニングを投げ、防御率は0・00。先発陣が本調子でない中、米国でも大車輪の活躍が期待される。「メジャー中継で見るような打者がどんどん出てくる。楽しみながらいきたい」。育成出身の24歳は、目を光らせた。 (神田 佑)

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2017年3月16日のニュース