山田弾で始まり山田がトドメの一発!侍J4強へ無傷5連勝

[ 2017年3月15日 05:30 ]

WBC2次ラウンドE組   日本8―5キューバ ( 2017年3月14日    東京ドーム )

<日本・キューバ>8回2死一塁 山田は左中間に2ランを放つ
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 アサヒスーパードライプレゼンツ・第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪回を目指す侍ジャパンは14日、2次ラウンドE組でキューバに逆転勝ちし、4大会連続の準決勝進出に大きく前進した。3試合ぶりの1番に座った山田哲人内野手(24=ヤクルト)が初回に先頭打者弾を放つと、8回には勝ち越した直後にダメ押しの2号2ラン。1次ラウンドから5連勝で、15日のイスラエル戦を前にプレーオフ以上が確定した。

 勝利を確信する力強い打球が左翼席に向かった。完璧な感触。山田は笑顔だ。ベンチのナインは大興奮でハイタッチを交わし、スタンドのファンは総立ちとなった。

 「自分のスイングができた。良かったぜ〜い」

 3度追いつくが、なかなか勝ち越せない展開。8回1死一、三塁から代打・内川の右邪犠飛で、ついにリードを奪う。東京ドームが沸き返る中、山田に打席が回ってきた。その初球。136キロスライダーを振り抜いた。内川の打席で相手投手の傾向を分析し「スライダー一本に絞ってフルスイングした」。読み通り。2死一塁から決勝トーナメント進出を大きく前進させる2ランを放り込んだ。

 始まりも山田だった。初回先頭、2ボール1ストライクから滞空時間の長い打球が左翼席中段に吸い込まれた。WBCの日本選手では06年のイチロー、13年の鳥谷に続く3本目の先頭打者アーチ。「1番打者として最高の結果でスタートできた」。試合前時点で打率・176の不振。忘れかけていた感触を取り戻すと3安打3打点4得点と鬱憤(うっぷん)を晴らすように輝きを放った。

 7日のキューバとの開幕戦。史上初めて2年連続トリプルスリーを達成した打撃とスピードを買われ、1番に起用された。しかし、調子が上がらず、12日のオランダとの2次ラウンド初戦は戦略的な意図もあり「7番」まで下がった。「やることは変わらない」。不慣れなDHでも言い訳せず責任感の強い男は、結果の出ない自分に腹が立っていた。

 3試合ぶりの「1番」。試合前ミーティングで小久保監督から打順を告げられると「自分が決めてやる」。腹をくくった。打撃練習中に「(これまでは)準備不足だったかな」とスイングの始動を早めた。不振が続き、知らず知らずのうちに受け身になっていたが鋭い打球を連発。コーチ室に戻った指揮官に「今日は(山田が)打つ」と予言させたほどだった。

 昨秋のメキシコ、オランダとの強化試合。打率・077と精彩を欠いた。直後、練習用としてグリップ部にテーピングを巻いたバットを発注。「バットをよりグッと(強く)握れるように」。米国や中南米の投手は剛球ぞろい。力負けしないためにグリップ力の重要性を認識した。1月の松山自主トレでもマシン打撃で使用。元来の打撃センスに数ミリのテーピングで強引さも加わった。

 チームは無傷の5連勝。「今日だけでなく、明日も。アメリカでも暴れられるように頑張りたい」。復活した山田の言葉にはバット同様に力強さが戻っていた。(川手 達矢)

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2017年3月15日のニュース